(※写真はイメージです/PIXTA)

経営者や後継者にとって悩ましいのが、贈与税や相続税といった事業承継時にかかる「税金」です。税金対策に苦慮したり、最悪納税資金を用意できず借金しなければならないケースも存在します。そんなときには、一定の要件を満たせば贈与税・相続税が猶予になる「事業承継税制」が有効です。本記事では、相続に詳しい税理士・公認会計士の小形剛央氏が本制度のしくみや一般措置と特例措置の違い、注意点について解説します。

“駆け込み特例”はキケン…事業承継の「目的」を考えて

このように事業承継税制のメリットはとても大きいものの、「税制を利用したい」という目的で焦って事業承継を進めるのは、非常に危険です。

 

現に、とりわけ相続税や贈与税が猶予されるという魅力は大きく、そこに注目するあまりに「とりあえず事業承継をしよう」という「駆け込み特例」になるケースが多く見られますが、先に述べたように事業承継とは、会社をより長く社会に存続させ、従業員や取引先などのステークホルダーの幸福につなげるために必要な手続きであることは、しっかり意識しておかなければなりません。

 

現に、「税が猶予される」という目先の金銭的なメリットに目を奪われて事業承継を安易に決断し、結果として残された従業員や取引先、ひいては親族までもが悲惨な目に遭ったというケースを、私は見てきました。

 

この制度をきっかけに事業承継を前向きに考えるというのは、とても素晴らしいことですが、その際は必ず、「なぜ事業承継をしなければならないのか」という問いに真摯に向き合っていただきたいと思います。

 

 

小形 剛央

税理士法人小形会計事務所 所長

株式会社サウンドパートナーズ 代表

税理士・公認会計士

 

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※本連載は、小形剛央氏の著書『いきなり事業承継成功読本』(日刊現代、講談社)より一部を抜粋・再編集したものです。

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