(※写真はイメージです/PIXTA)

事業承継を検討する際、承継時にかかる多額の税金など財務面に不安を抱える経営者や後継者は少なくありません。そんなとき、事業承継を見据えて「経営者の退職金を調整する」という方法があると、相続に詳しい税理士・公認会計士の小形剛央氏はいいます。本記事では、経営者の退職金額設定のポイントや注意点について解説します。

事業承継資金の準備で「経営者の退職金」を減額する!?

事業承継を成功させるために重要な要素として、好業績を維持していてかつ資金繰りも良好であることが挙げられます。

 

とはいえ実際には、たとえ業績が良かったとしても、事業承継時に財務面の不安を感じている経営者や後継者が多いようです。その場合、事業承継の準備段階で実践できることとして、「経営者への退職金を減額する」という方法があります。

 

簡単にいえば2,000万円支払う予定だった退職金をゼロにすると、その分を事業に必要な運転資金に充てることができます。この退職金をどのくらいに設定するかは、事業承継を考える経営者にとって、非常に悩ましいポイントとなります。

 

「役員退職金」とは、会社に貢献したことへの対価や長年にわたる功績の対価として支払われるものです。一般社員に対する退職金は、企業ごとに作成した就業規則(退職金規定)に基づいて支給されますが、役員退職金の場合は、支給金額や支払時期を定款に記載するか、株主総会で決議を取る必要があります。

 

役員退職金は半数以上が「2,000万円以下」

経営者であれば、役員退職金の相場がどのくらいかがまず気になるところでしょう。その実態は、2020年の調査によれば、社長が約2,476万円、取締役が約1,685万円、監査役が約1,150万円となっています[図表1]。

 

出所:エヌエヌ生命保険「中小企業の退職金に関する調査」(2020年3月)をもとに作成
[図表1]役員退職金の平均支給額と金額の分布は? 出所:エヌエヌ生命保険「中小企業の退職金に関する調査」(2020年3月)をもとに作成

 

さらに、社長の役員退職金額の分布を見てみると、最も多いのが200万〜1,000万円で、200万円未満、1,000万〜2,000万円と続いています。このことから、先の役員退職金相場は一部の高い人が吊り上げているだけであって、半数以上は2,000万円未満ということがわかります。

 

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※本連載は、小形剛央氏の著書『いきなり事業承継成功読本』(日刊現代、講談社)より一部を抜粋・再編集したものです。

いきなり事業承継成功読本

いきなり事業承継成功読本

小形 剛央

日刊現代

経営者にとって「最後の大仕事」である事業承継。しかし、「後継者が見つからない」という理由で廃業を選択するケースも増えており、無事に承継できたとしても、承継後すぐに経営が立ち行かなくなってしまう「失敗例」も多い。…

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