事業承継資金の準備で「経営者の退職金」を減額する!?
事業承継を成功させるために重要な要素として、好業績を維持していてかつ資金繰りも良好であることが挙げられます。
とはいえ実際には、たとえ業績が良かったとしても、事業承継時に財務面の不安を感じている経営者や後継者が多いようです。その場合、事業承継の準備段階で実践できることとして、「経営者への退職金を減額する」という方法があります。
簡単にいえば2,000万円支払う予定だった退職金をゼロにすると、その分を事業に必要な運転資金に充てることができます。この退職金をどのくらいに設定するかは、事業承継を考える経営者にとって、非常に悩ましいポイントとなります。
「役員退職金」とは、会社に貢献したことへの対価や長年にわたる功績の対価として支払われるものです。一般社員に対する退職金は、企業ごとに作成した就業規則(退職金規定)に基づいて支給されますが、役員退職金の場合は、支給金額や支払時期を定款に記載するか、株主総会で決議を取る必要があります。
役員退職金は半数以上が「2,000万円以下」
経営者であれば、役員退職金の相場がどのくらいかがまず気になるところでしょう。その実態は、2020年の調査によれば、社長が約2,476万円、取締役が約1,685万円、監査役が約1,150万円となっています[図表1]。
さらに、社長の役員退職金額の分布を見てみると、最も多いのが200万〜1,000万円で、200万円未満、1,000万〜2,000万円と続いています。このことから、先の役員退職金相場は一部の高い人が吊り上げているだけであって、半数以上は2,000万円未満ということがわかります。
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