「お客の脳内シェアを高める」営業ツール
■手書きの礼状は、好印象として受け止められる
営業は第一印象を良くすることだと述べましたが、同時にお客様から忘れられないことも重要です。
忘れられないためには定期的に面談することですが、コロナ禍で以前のようにはアポイントが取りにくくなっています。
そうした状況でも顧客との接触頻度を維持し、
「あっ、そうだ! △△さんに連絡してみよう」
とお客様が必要とするときに、真っ先に思い出してもらえる存在になることが「できる営業」の条件です。
私はこのことを「お客様の脳内シェア高める」と呼んでいます。そのために私は次のようなツールを使っています。
●手書きの礼状や季節の挨拶状
近年、年賀状を送る習慣が減ってきていますが、年賀状をいただくのはやはり嬉しいものです。
ただ、表も裏も印刷されたものだと、少々、興きょうざ醒めしてしまうのは私だけではないと思います。
メールやSNSが連絡手段の主役になった現在、あえて手書きでの手紙や葉書は送る相手に良い印象を与えます。
切手や封筒の準備をして、送る相手のことを考えながら言葉を綴つづる――。受け取る側は相手の気づかいを感じ、それだけで嬉しくなりますが、文面も個性的で丁寧だとより一層好印象度がアップします。
労を惜しまず、大切なお客様だと思えば、ぜひ手書きで送るようにしましょう。万年筆を使えば、文字に温かみも出ます。
また、私は年賀状は当然として、暑中見舞いや残暑見舞いも送るようにしています。暑中見舞い(残暑見舞い)を送る人は少数派ですので、お客様の印象に残りやすくなります。
さらに、お客様の誕生日や創立記念日などにはお祝いのカードを送るようにしています。
●ニュースレター
私は、A4サイズの4ページのニュースレターをお客様向けに定期的に郵送しています。時候の挨拶に始まり、本書で紹介しているような営業術やビジネスネタのほか、仕事上の案内などですが、10年以上継続しています。
そして、「お客様の仕事に役立つ情報」にこだわることで、自分本位の案内にならないように気をつけています。
お客様に向けてニュースレターを送る人は多くはないので、これにより「お客様の脳内シェア」を高めることにつなげています。
また、新規開拓を行う場合にこのニュースレターを持参することで、「今日はご挨拶代わりに、これをお持ちしました」と初めて会う人への大義名分にもなっています。
●捨てられないカード
これも私が実践していることですが、机の上や店内に飾ると商売繁盛・千客万来につながる「宝船のイラスト」を印刷したハガキ大のカードのほか、スティーブ・ジョブズやアインシュタインなど著名人の名言カードをお客様にお渡ししています。
裏面には、私の連絡先やSNSのURLやQRコードが入っています。
●小冊子
私自身をよく知っていただく目的で、人生観や仕事観を物語風にまとめた小冊子(A4判24ページ)を用意してお客様に配付しています。
「自己開示」することで親近感を高めるのが狙いです。
▶営業力を上げるコツ
自分とお客様をつなぐツールをいくつか用意する
酒井 とし夫
マーケティング・コンサルタント