(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年2月17日、投資会社「エクシア合同会社」に出資した259人が、会社と役員3人に対し、総額約32億4,600万円あまりの損害賠償訴訟を起こしました。同社は高い利回りをうたい出資を集めましたが、2022年3月頃から出金・返金に応じておらず、投資詐欺ではないかと問題視されていました。本記事では、同社が用いていた「合同会社スキーム」の問題点と、投資詐欺の被害に遭わないためのポイントを解説します。

法の抜け穴!? 「合同会社スキーム」の問題点

「合同会社スキーム」は、「合同会社」という会社形態を利用した投資スキームです。

 

合同会社とは、出資者が「社員」となり、事業により利益が出たら「配当金」を分配するしくみの会社です。

 

「社員」は一般的な用語法としての「社員=従業員」とは異なり、会社への「出資者」を意味すると思ってください。

 

「合同会社スキーム」とは、合同会社を設立し、不特定多数の投資家から「社員」になってもらう形で出資を募るしくみといえます【図表1】。

 

【図表1】合同会社スキームのイメージ

 

通常、不特定多数の投資家からお金を集める場合は、金融商品取引法等による厳しい規制を受けます。

 

すなわち、株式、債券、投資信託等の金融商品を取り扱う事業に参入するには、「登録」「認可」「免許」を受けなければなりません。その審査はきわめて厳格です。

 

また、個別の金融商品の募集に際しても、内閣総理大臣への有価証券届出書の提出や、投資家に対する目論見書の交付を行わなければなりません。

 

その他にも、監督官庁への定期的な報告と、出資者に対する継続的な情報提供も、義務付けられるなど、きわめて厳格な法規制が敷かれています。

 

ところが、「合同会社スキーム」は、基本的にそれらの法規制の対象となっていません。

 

不特定多数の投資家に「社員」になってもらうことで、法規制を受けることなく、大量のお金を集めることができ、しかも、その運用等についても法規制の対象外となってしまうということです。

 

これは、きわめて危険なことです。実際、消費生活センター等に合同会社スキームをめぐるトラブルが多数報告されていました。

「合同会社スキーム」にも2022年10月から法規制の網

金融当局もこの事態を問題視し、合同会社スキームについて、2022年10月から網がかけられることになりました。

 

すなわち、合同会社が従業員を使って出資者(社員)を勧誘する行為を行う場合、金融商品取引業の登録が必要となりました(【図表2】)。

 

証券取引等監視委員会HPの図表をもとに作成
【図表2】合同会社スキームに対する新たな規制(2022年10月3日より施行) 証券取引等監視委員会「合同会社による社員兼の取得勧誘に関する建議について」の図表をもとに作成

 

もしも無登録で勧誘行為が行われた場合、裁判所への申し立てにより禁止命令等を出せるようになりました。

 

これは、形式的には合同会社の社員(出資者)の募集でありながら、実態としては法規制の対象となる金融商品の募集と変わらないという点を重くみたものです。

 

この法規制の下では、エクシア合同会社が行っていたような勧誘手法を無登録で行うと違法となります。

 

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