支離滅裂な3時間超え説教、シメは金切り声で「これだから女は」
・結婚までの印象は“知識が豊富なすごい人”
・説教が始まると3時間超え
・なぜか出身校を隠したがる
豊富な視点と鋭い言葉で議論の相手を言い負かす。そんな「論破」がブームとなって久しい昨今、夫婦間や家庭内においても、会話でマウントを取ろうとする"論破履き違え夫”の存在が目立ってきています。
3時間を超える説教に動悸が止まらず
「頭がおかしくなりそうです……」と法律相談にやってきたのは、専業主婦のA子さん(26歳)。2年前に、システムエンジニアとして働く3つ年上の夫と結婚して、1歳になる男の子がいます。
二人の出会いはマッチングアプリ。夫は誠実そうな見た目で有名な大学院の出身。最初は優しかったのですが、結婚すると豹変。ささいなきっかけで妻を責めるようになり、A子さんは、毎日のように夫からの説教や暴言を浴びてきたそうです。
飲みかけのカップを放置しておくと「なぜすぐ洗わないのか、コーヒーには色素沈着を起こす成分が含まれているのを知らないのか」から始まり1時間。外出中に急な雨で洗濯物が濡れれば「なぜ天気予報をチェックしないのか。雨水には大気中のちりや排気ガスが含まれているのを知らないのか」と言い出し、そこから2時間。
テレビ裏のコンセントにほこりがたまっているのを見つけた時は、説教がついに3時間を超えました。「発火の原因になると理解できないなんて、君は一体義務教育で何を学んできたのか」「家を火事の危険にさらした責任をどう取るのか」など、A子さんを責め続けました。
謝ってもほこりを掃除しても夫の怒りはおさまらず、その日を境に、夫といると動悸がするようになりました。バリバリの理系で高学歴。大学では難しい研究もしていたと言うし、知識が豊富なすごい人……。A子さんは、夫をこう思い込んでいました。
しかし、説教はいつも長引くにつれ支離滅裂になっていき、A子さんが謝るとその言い方をあげつらい「謝り方が悪い」とさらに怒ります。最後は金切り声で「バカ、マヌケ」「これだから女は」と暴言を吐き、飽きるまで終わりません。
A子さんは「ミスをしなければ怒られない」と考えて、毎日夫を怒らせないよう神経をとがらせていましたが、夫の説教はなくなりません。むしろ怒りの沸点がどんどん低くなっていき、やがてA子さんの両親に電話をかけるようになりました。
「こんな娘を嫁に出した責任をどう取ってくれるんですか」と責め、A子さんが「父は体が悪いからそのぐらいにして」と言っても聞かずに、深夜まで両親への説教を続けるようになりました。父親の病気が悪化したら、そしていつか子どもにもこんな説教を始めたら……。
さまざまなことを考えると不安と恐怖に襲われ、一人の時でも夫の金切り声が頭から離れなくなったA子さんは、離れる決断をしました。