「ママ、暑いよ」泣き叫ぶ子どもに「エアコンをつけたら地球が壊れる!」…30歳妻、“モラハラ夫を黙らせた”離婚調停での強烈な一打【弁護士が解説】

「ママ、暑いよ」泣き叫ぶ子どもに「エアコンをつけたら地球が壊れる!」…30歳妻、“モラハラ夫を黙らせた”離婚調停での強烈な一打【弁護士が解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

「うちのエアコンには、27度以下のボタンは無いと思え」「だからお前はバカなんだ!」子どもは熱中症で死にかけ…。一流企業で博識、意識の高い素敵な男性、そう思って結婚したのに──。コロナウイルスによるオンラインワークなどによって、普段仕事に行っていた夫と家にいる機会が増えたことで、離婚の件数は増加傾向にあります。そんな中増えているのが「モラハラ夫」。「モラハラで離婚はできない」なんていう風に言われることもありますが、しっかりと準備をすれば離婚をすることはできます。実例を交え、離婚問題に詳しい弁護士の堀井亜生氏が著書『モラハラ夫と食洗機』(小学館)で解説します。

一流企業、博識な人。だが結婚してみたら…

まんが/ゆむい(『モラハラ夫と食洗機』より)
まんが/ゆむい(『モラハラ夫と食洗機』より)

 

 

〈特徴〉
・どんどん高まる「光熱費の節約」熱
・「27度以下のボタンは無いと思え」
・コロナ禍で終日夫の監視下に

 

持続可能な社会のために、できることからコツコツと──と言えば聞こえは良いですが、実際のところ、中身はただのケチとマウント取りのハイブリッド。今回はそんなモラハラ夫のケースです。

 

保険会社勤務の夫とは、合コンで出会ったというL子さん(30歳)。知り合った当初から、夫は環境問題や社会問題について話すことが多く、普段ニュースを見たり新聞を読んだりする習慣のなかったL子さんは、さすが一流企業の人は博学で意識も高いと感心したそうです。

 

以前は派遣で事務員をしていましたが、結婚を機に家庭に入ることに。同居が始まると、夫はまずL子さんに光熱費の節約を言い渡しました。

 

「資源は無限ではない」を決まり文句に、使わない時には家電のコンセントを抜き、ペットボトルは洗って使い回し。夫いわく、ガソリンを使うと地球温暖化に影響があるらしく、夫の送迎以外の車の利用は厳禁。送迎時の運転も急発進や急ブレーキは絶対NGで、いかにガソリンを消費しないで運転するかを求められていたそうです。

 

風呂の残り湯を洗濯に使う夫のこだわりもL子さんには負担でした。毎月、水道光熱費をチェックし、高いと環境に悪いと怒られます。大変だと思いつつも、環境のためならと、夫に言われるままに過ごしていました。

 

夫婦で過ごす初めての夏。家事で汗をかくので、L子さんはエアコンを24度に設定していました。が、帰宅した夫はエアコンの設定温度を見て、「うちのエアコンには、27度以下のボタンは無いと思え」。それから「朝と夜は涼しいんだから、窓を開けて扇風機を使えばいい。そもそも人間の体には自然の風が一番なんだ」。

 

L子さんは驚きましたが、環境問題を話し出すと長いので、黙って受け入れました。ところが、本当の地獄は子どもが生まれてから始まりました。

 

冬の寒い日、暖房が満足に使えず、寒さで子どもが風邪を引いたことがありました。かなりの高熱で、医者にかかろうにも車の使用許可はおりず、L子さんは子どもを抱っこして往復40分かけて病院へ。

 

次の夏は猛暑でしたが、夫がいない昼間にエアコンを使いすぎると、電気料金でばれてしまいます。そのため、日が暮れるまで子どもと児童館やショッピングモールで過ごしたり、何かと理由をつけて実家に帰ったり、時には友人の家に避難したこともあったそうです。

次ページ離婚調停でモラハラ夫を黙らせた“決定的証拠”

※本連載は、堀井亜生氏の著書『モラハラ夫と食洗機』(小学館)より一部を抜粋し、再編集したものです。

モラハラ夫と食洗機

モラハラ夫と食洗機

堀井 亜生

小学館

2000件を超える離婚・恋愛トラブルを扱ってきた弁護士、堀井 亜生氏が、実際に見聞きしたモラハラの実態を紹介し、それらを分析して、「正しい別れ方」と、別れた後に「過去に決着をつける方法」を解説します。 家族のあり方…

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