誰が通うのか?費用は年1,000万円…イギリス名門スクールの「アジア校」が日本で急増するワケ【元国連職員が解説】

誰が通うのか?費用は年1,000万円…イギリス名門スクールの「アジア校」が日本で急増するワケ【元国連職員が解説】

近年、日本では、イギリスの名門パブリックスクールのアジア校が次々に開校されています。収入格差が拡大し、高い学費を払える家庭は一部の富裕層に限られるなか、なぜいま日本で開校するのでしょうか。その背景には、アジア各国の富裕層が抱える「自国での深刻な問題」が大きく関係していると、元国連職員の谷本真由美氏はいいます。アジアの富裕層がこぞって日本に集まるワケをみていきましょう。

イギリスエリート校が日本にアジア校を開校する理由

最近、日本ではイギリスの名門パブリックスクールがアジア校を開校していることが話題になっています。その代表例は岩手県のスキーリゾートである安比高原に開校したハロウインターナショナルスクール安比ジャパンです。

 

ハロウ校はイギリスでは超有名なパブリックスクール、つまり全寮制の私立学校です。貴族や紳士階級の次男や三男を放り込んで教育するための学校であり、進学率が高く、いわゆる名家の子どもが在籍しています。

 

この学校以外にも日本には続々とイギリスのパブリックスクールが開校を始めています。しかしなぜこのタイミングでわざわざ日本に開校するのか──。

 

こういう学校は学費が年に150万円から300万円で、寮費や各種諸経費を含めた場合は年に1,000万円近くかかります。収入格差が拡大している日本でこの学費を払えるような家庭はそれほど多くありません。

 

こういった学校がターゲットにしているのは日本人ではなく中国や韓国、東南アジアといった国々の富裕層の子どもです。彼らは資産を保全するために子どもにはどうしても自国の外で英語の教育を授けたいと思っているので、以前から欧米にある私立の学校に子どもを送り出していました。

 

ところが欧米の学校はアジアからは距離的に遠く、子どもが私立の小中高に在籍するのにはビザが必要です。さらには保護者のどちらかが一緒に同居もしくは同じ国に滞在していなければならないという決まりがある国も存在します。全寮制の学校でも国内で連絡がつく保護者が必要で、ビザが親の片方しか出ない国もあるので非常に不便です。

 

身内が往復するのに時差もありコロナ禍でいつ出入国できなくなるかわからない。そこでビザの発給条件が格段に緩く不動産が激安で自国から近い日本が便利、となったわけです。

 

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本記事は、谷本真由美氏の著書『世界のニュースを日本人は何も知らない4(ワニブックスPLUS新書)』より一部を抜粋し、再編集したものです。

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