経済統計がメチャクチャなロシア
また、先に紹介したカーネギー国際平和基金のアンドリュー・モブチャンの論文によれば、ロシアは腐敗と裏経済の規模があまりにも大きすぎるとのことです。
そのため政府が発表する統計も数量的分析にはまったく役に立たず、税務申告も輸入も値段をごまかした申告が横行しているために、モノやサービスの値段は実際と大きくかけ離れているというのです。
たとえば建築業界でのサービス価格は公式統計よりも20~50%以上高いとの推測です。そして2013年から2014年のロシアにおける裏経済の規模は全体の10~20%と見積もられています。
裏取引、所得のごまかし、税金のごまかしが横行しているので、2014年のロシアは支払いの80%が現金で、その15年前に比べて現金の流通は45倍も増えていたのです。
30%の人口はキャッシュカードを一枚も所有しておらず、ロシア政府支出の30%は「極秘」で、いったい何に使われたのかわからないようになっています。
1990年代よりはマシでも、とても先進国とは呼べないような実態でした。
ようするにロシアは、自然に湧き出る油などエネルギー資源の輸出が最大の得意分野の産業である「巨大な灯油屋さん」であり、2015年の時点でロシアは経済の67~70%を石油や天然ガスからの収入に頼っていたのです。
輸入品を買う際に払うお金の60%以上が資源からの収入で、政府税収の60%以上も資源からのお金です。したがって中東の資源国のような状態です。
一言でいうと「灯油の値段がガンガン上がったので、灯油さえ配達してれば営業努力もサービスも何もしなくても儲かる成金の灯油屋」です。
例え話として記すと、価格が街で一番安いので、サービスがひどくても非常に柄が悪くて反社系でも誰も文句を言ってきません。ロシアの資源は安かったので激安エネルギーで儲けたいセコい国がガンガン買っていたのです。
これらの国は、反社と知りつつ、値段がお手頃の激安灯油屋から仕入れて、儲けまくっていた健康ランドのようなものです。