赤身肉は「血の気の多い肉」!?
米国などの研究で、赤身肉をよく食べている人は心臓病や動脈硬化になりやすいという報告が出ています。この場合の赤身肉というのは、牛肉や豚肉、馬肉、羊肉などの、生の状態が赤い肉を指します。
赤身肉の赤い色は、肉のタンパク質の色が影響しています。血液中で酸素を運ぶ役割を担っているのは赤血球中のヘモグロビンという成分であると説明しましたが、筋肉の中ではミオグロビンというタンパク質が酸素を運んでいます。
このミオグロビンも鉄を含んでおり、赤色をしているので、ミオグロビンを多く含む肉は赤く見えるのです。いってみれば赤身肉は「血の気の多い肉」といえるでしょう。
これに対して白身肉は、鶏肉や魚が代表格です。ただし魚の中にも赤身と白身があります。例えば回遊魚のまぐろは常に泳いでいるため、酸素をたくさん必要とします。それはつまり、たくさんのミオグロビンが必要ということです。よって身は赤くなります。
一方、ひらめやたいは運動量が少なく、ミオグロビンの量も少ないため、白身になるというわけです。赤身肉をたくさん食べると心臓や血管の病気のリスクが高まるという研究報告も、東洋医学的な見方をすれば、血の気が多くなりすぎてこれらの臓器や組織に負担をかけるからと考えることもできます。
赤身、白身の選択はストレスにならない程度に意識する
しかし、一概に赤身肉が健康に悪いと決めつけるのは考えもので、あくまでも過剰に摂りすぎるのが問題、と捉えるべきでしょう。疲れやすい人や貧血気味の人はむしろ、意識して摂った方が良いことは前に解説した通りです。
逆に、普段から暑がりでよくのぼせ、かっとなりやすいような人は、赤身肉よりは白身肉を選んで食べる方が、身体の中の血の気のバランスがとれて、心臓や血管の病気のリスクを下げることにつながるかもしれません。
免疫にとってもバランスが大事で、貧血では困りますが血の気が多すぎても、交感神経と副交感神経からなる自律神経の働きに偏りが生じ、免疫がスムーズに機能しにくくなるので要注意です。血の気が多い人は興奮や緊張を司る交感神経が常に優位にたつため、心臓の拍動や呼吸も速くなりがちで、循環器系への負担が大きくなる傾向にあります。
現代人は長時間労働や人間関係で強いストレスを受けがちなので、どちらかといえば血の気が多くなりやすい人の割合が高いように思います。とはいえあまり赤身肉を毛嫌いするのも、バランスを崩すもとになります。
食事の際どちらかを選べるような場合などには、赤身よりは白身の料理を、といった感覚で、ストレスにならない程度に気にかければ十分です。