成長のためには「壁」が必要
だから私は、企業の成長に関わる時も、意識して「壁」を作ることをします。特にリーダー研修の時には、愛厳の精神でリーダーの根っこに釘を打ちます。
「Gリーダーは私から見ると問題が起こっても最後には逃げそうな風に見えます」「K課長は私から見ると上司にも部下にも本気で向き合っていないように見えます」などとあえて耳の痛い言葉を与えます。本当にそうなのかどうかは分かりませんが、少なくとも私からの見え方を教えます。
そうすることによって、言われた方は、自分でもコンプレックスになっていてこれまでフタをして生きてきたことや、やっぱり他人からは見えてたんだという気づきとなり、本気で直すのかそのままの自分でいるのかをご自身で決断するのです。
壁があるからこそ、人は学び成長できます。乗り越えた時、出会うべき人に出会わせてくれます。人の「器」を見せてくれます。気づけなかった世界を見せてくれます。新たな学びが必ずあります。だからピンチはチャンスなのです。
すべて思い通りになるなんて楽しくないです。打率10割が当たり前なら誰も野球なんてしないです。つまらなくてすぐに飽きてしまいます。スポーツに限らず、仕事も含めて「なかなかうまくいかないからこそ楽しめる」とも言えます。この感覚がとても大切なのです。
より簡単に、より効率よく何かを得たいと思うのは一方で正しいとは思いますが、簡単に手に入るものは多分簡単に飽きてしまうでしょう。少々難しくても挑戦して、色々工夫してコツコツ取り組んで手に入れる方が、きっと喜びも大きくてそこからの学びや自身のバージョンアップも大きいのではないでしょうか。
ですから、リーダーであるあなたも部下の成長を促すためには「愛厳の精神」が必要なのです。
部下に耳の痛いことを言うのはなかなかしんどいことかもしれませんが、「自分と関わることで絶対にこの部下は良くなる」と信じて、良くなるまで離れないという覚悟を持って、時にはパパイヤの根に釘を打つ、あえて壁を作ってあげることも含めて部下と接してほしいと願います。
中田 仁之
株式会社S.K.Y.代表取締役
中小企業診断士
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