退職後に賃貸経営…A夫妻が出した「結論」
現在3人が暮らすマンションは、ファミリー層に人気の地域に位置し、現在も空室はありません。
そこで筆者は、息子さんの意向も踏まえ、「現在のマンションはリノベーション後に賃貸として貸し出し、別途、夫婦のマンションを購入することも可能である」と提案しました。
家賃収入は、近隣の相場から考えると毎月20万円前後は望めます。また、将来的に息子に家族ができれば住まわせてもいいでしょうし、息子に相続することもできます。
もしも近頃の物価上昇が影響し、リノベーション費用が高騰した際は、夫妻の新しいマンションを購入する際に住宅ローンを組む可能性もあります。しかし、その場合も多くても300万円くらいまででよく、家賃収入の一部をローン返済に当てることができます。
定年延長の流れのなか、2025年4月から65歳までの雇用確保が義務となることから、近い将来A夫妻が勤めている会社の定年も60歳から延長になる可能性があります。したがって、上記の計画は流動的な部分もあります。
しかし、A夫妻は悩んだ末、筆者の提案どおり住宅ローンを完済したうえで、10年後息子が大学を卒業して独立しているであろう60歳をめどに、いま住んでいるマンションはリノベーションをして賃貸として貸し、将来は息子に相続することにしました。
それまでのあいだは、新しく住みたい地域や物件を探し、また賃貸経営の勉強も積極的にする予定です。
まとめ
筆者がA夫妻に最初に会った際は、2人とも60歳で退職したあとの生活をかなり心配してらっしゃるようでした。しかし、相談したことによって、現在の家計から支出額が大幅に増えることがない限り、「老後破産」の心配なく生活できることが確認できました。
また、結果的に退職後に賃貸経営という新たなチャレンジをすることになり、2人は顔を見合わせ思わず微笑んでしまったのでした。
働き者のA夫妻のセカンドライフも、いい意味で忙しくなりそうです。
【参考】
※1 厚生労働省「令和3年度厚生年金保険・国民年金事業の概況」より
※2 ねんきん定期便 日本年金機構HP「ねんきん定期便」の様式(サンプル)と見方ガイド(令和4年度送付分)」
※3 厚生労働省「令和3年簡易生命表」より
牧野 寿和
牧野FP事務所合同会社
代表社員
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