(※写真はイメージです/PIXTA)

借主と賃貸借契約を更新したマンションオーナー。更新時はすでに「改正民法」が施行されていましたが、保証人とは特に書面を交わしていませんでした。この場合、改正民法に基づいた契約を定めていない場合、保証は無効になってしまうのでしょうか。賃貸・不動産問題の知識と実務経験を備えた弁護士の北村亮典氏が、過去の判例をもとに解説します。

更新時「新たに保証契約をしたか」で判断が分かれる

以上を踏まえると、本件の問題は

 

①賃貸借契約の更新の際に、保証人とも改めて保証契約の取り交わしをする
②賃貸借契約の更新の際に、保証人とは別途書面の取り交わしはしない

 

の2つの場合に分けて考える必要があります。

 

まず、①の場合は、改正民法施行後に新たな保証に関する合意があったといえるため、保証契約は改正民法の適用を受けることになります。したがって、保証契約の更新において、極度額の定めをしなければ、保証は無効となってしまいます。

 

次に②の場合ですが、この場合、更新時に、新たに保証人と契約をしなくとも前述の最高裁判例の解釈に基づけば、当初の保証契約の責任の効力が、更新によっても失われずにそのまま継続するものと解されます。

 

そして、改正民法施行後に、保証契約に関し新たに合意をするものでもありませんので、改正民法の適用は受けず、極度額を別途定める必要もない、というのが法務省の見解のようです。

 

以上を踏まえると、改正民法施行後の賃貸借契約の更新において、保証人からもなにかしらの書面にサインを貰う場合には、改正民法の規定を意識した対応が必要になることに注意が必要です。

 

※この記事は2020年6月3日時点の情報に基づいて書かれています(2023年2月17日再監修済)。

 

 

北村 亮典

弁護士

大江・田中・大宅法律事務所

 

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※本記事は、北村亮典氏監修のHP「賃貸・不動産法律問題サポート弁護士相談室」掲載の記事・コラムを転載し、再作成したものです。

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