働き方によって年金受給額はどう変わるのか
早めに必要な場合、60歳から年金を受け取ることも可能です。ただし、この制度を利用して65歳より早く受け取り始めた場合、1カ月につき0.4%ずつ減額されます。
また、最長75歳まで繰り下げ受給することも可能です。繰り下げる場合は1カ月につき0.7%ずつ増額されますので、75歳まで繰り下げると84%も増えることになります。十分な所得があれば、繰り下げ受給を検討してもいいでしょう。
もらえる年金を具体的に確認しておきましょう。
この[図表3]は、現在年金を受給している人の月額の平均受給金額です。
このように働き方によってかなり違ってきます。ただ、あくまで平均の金額であり、保険料を納付した期間や、第2号被保険者の人の場合は現役時代の所得によって違ってきます。ご自身の状況は、誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」によってある程度わかります。
50歳未満の人は、これまでの保険料納付額と年金加入期間、これまでの加入実績に応じた年金額が記載されています。年金額が少なくても、将来その金額しかもらえないわけではありません。「これまでの加入実績」しか考慮されていないので、ご安心ください。
50歳以上になると、現在の加入条件が60歳まで継続すると仮定した場合、将来受給できる年金額も記載されています。かなり現実的な金額になってきます。ぜひ確認しておきましょう。
また、「ねんきんネット」ではいつでも確認することができます。ユーザー登録をしておくと便利です。活用してみてください。
ちなみに、納付した保険料ともらえる年金額の損得勘定が気になる人もいるかもしれません。一例として、第1号被保険者の人で計算してみましょう。
20歳から60歳まで満額保険料を払った場合、2022年度の月額保険料1万6,590円が変わらなかったとすると、納付した保険料の合計は1万6,590円×12カ月×40年で796万3,200円になります。
2022年度の国民年金の満額受給額は年間77万7,800円ですので、65歳から受給を開始したとすると、10年3カ月以上受給すれば支払った保険料より多くもらえる計算になります。
長生きすればするほど「お得」ということになりますね。
ただ、公的年金にもデメリットがあります。それは「物価の上昇に弱い」ことです。
公的年金は、前述したように、「マクロ経済スライド」の仕組みがあり、破綻しないように調整しています。それにより、「賃金や物価の上昇率よりも、年金額の上昇率のほうが低くなる」のです。
つまり、物価がどんどん上がっても、年金はそれほど上がらないので、実質的な価値は目減りすることになります。この点は頭に入れておきましょう。
濵島 成士郎
株式会社WealthLead
代表取締役