「“DX”って、ペーパーレス化すればいいんでしょ?」は大きな勘違い…今こそ知るべき「正しいDX」

「“DX”って、ペーパーレス化すればいいんでしょ?」は大きな勘違い…今こそ知るべき「正しいDX」
(※写真はイメージです/PIXTA)

DX(デジタルトランスフォーメーション)を成功させるには、DXを“本当の意味で”取り入れ、実践していかなくてはいけません。DXのエキスパート・荒瀬光宏氏の著書『1冊目に読みたい DXの教科書』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋し、DXの“D”とは何か、“X”とは何かを改めて確認していきましょう。

DXの「D」、デジタルとは何か?

DXにおける「D」(Digital)は単にデジタル化するということではなく、「データを活用できる状態になる」ことと理解すると良いでしょう。

 

■DXで必要となるデジタル化は「データを活用できる状態」になること

業務におけるデジタル化は、多くの人が「ペーパーレスにすること」「オンライン会議をすること」「業務をシステム化すること」などと捉えがちです(図表1)。

 

DXにおけるデジタル化を、多くの人が誤解している。 出所:荒瀬光宏著『1冊目に読みたい DXの教科書』(SBクリエイティブ)
[図表1]DXにおけるデジタル化の誤ったイメージ DXにおけるデジタル化を、多くの人が誤解している。
出所:荒瀬光宏著『1冊目に読みたい DXの教科書』(SBクリエイティブ)

 

しかし、DXを進める上で必要となるデジタル化は、「データを活用できる状態」にすることであり、単に個別の業務にデジタルツールを取り入れたり、人の作業をシステムに置き換えたりすることではありません。

 

■「データを活用できる状態」とは、価値に変換する準備ができていること

企業のDXにおいて、「データを活用できる状態」は、以下3つの条件を満たす必要があります(図表2)。

 

①蓄積されたデータが、ネットワークなどを介して取り出せること

②取り出したデータが、形式的に加工可能な汎用フォーマットであること

③取り出したデータが、内容的に価値や意味のある情報を含んでいること

 

出所:荒瀬光宏著『1冊目に読みたい DXの教科書』(SBクリエイティブ)より
[図表2]「データを活用できる状態」の3つの条件 データを蓄積するだけでは意味がない。
出所:荒瀬光宏著『1冊目に読みたい DXの教科書』(SBクリエイティブ)

 

たとえば、ビルの警備のために監視カメラを設置したとします。監視カメラにより、出入りする人の映像データが、どれだけ大量に蓄積されたとしても、このままでは「データを活用できる状態」ではありません。何かしらのネットワークを経由してデータが取り出せて、「社員が出勤した」「来訪者が来た」「不審者が来た」といった意味ある情報を汎用的なフォーマットで抽出できる状態になってはじめて、「データが活用できる状態」と言えます。

 

このように「データを活用できる状態」になっていることが、DXで業務プロセス全体、サービス全体の最適化や新しい価値の創造に進むための、必須条件です。

 

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<まとめ>

●企業のDXにおけるDは、「データを活用できる状態」にデジタル化すること

●「データを活用できる状態」になるよう、データの蓄積方法の整備が必要

●データが蓄積されているだけ、量があるだけにならないよう注意する

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※本連載は、荒瀬光宏氏の著書『1冊目に読みたい DXの教科書』(SBクリエイティブ)より一部を抜粋・再編集したものです。

1冊目に読みたい DXの教科書

1冊目に読みたい DXの教科書

荒瀬 光宏

SBクリエイティブ

DX(デジタルトランスフォーメーション)の基本から実現のプロセスまで、図解で本当によくわかる! 「DXとは何か?」 「どうしてDXが必要なのか?」 「日本のDXの現状は?」 「必要なデジタル技術は?」 「成功事例の…

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