(※写真はイメージです/PIXTA)

人生の中で、ローンなどの「借金」をし、債務者になることは少なくないと思います。その際、もし「財産開示手続」を迫られたとき、適切な対応を取らなければ、刑事罰を受ける可能性まで有るのです。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届け。今回は、「財産開示手続」についてお伝えします。

まず、財産開示手続とは?

財産開示手続は、”債務者の財産を調査すること”といわれています。

 

正式には、金銭債権について債務名義又は一般の先取特権を有する債権者の申立により、執行裁判所が、財産開示手続を実施する旨の決定をし、財産開示期日に出頭した債務者が、債務者の財産について陳述する手続です。

 

ただし、財産が開示されたとしても債権を回収するためには、債権者は、陳述によって知り得た債務者の財産に対し、別途強制執行や担保権の実行の申立をする必要があります。

 

財産開示手続が導入された目的とは

財産開示手続がどういう目的で導入されたのかを見てみましょう。

 

債権者は債務者の財産に関する情報を知らなければ、強制執行や担保権の実行の申立をすることができません。そこで、勝訴判決等を得た債権者のために債務者の財産に関する情報を開示する制度として、平成15年の民事執行法の改正により財産開示手続が導入されたのです。

 

財産開示手続は、債権者が債務者の財産に関する情報を取得するために設けられたものです。

 

財産開示手続の流れ~申立から期日後まで~

財産開示手続について、申立から期日後までの流れを確認しておきましょう。

 

債務名義に基づいて財産開示手続を行う方法をご紹介します。

 

①申立

債務名義を有する債権者は、財産開示手続の申立をすることができます。申立は書面でしなければならず、債務者の住所地を管轄する地方裁判所(支部を含む)に申立をする必要があります。

 

②財産開示手続の実施決定

執行裁判所は、審査の後に財産開示を実施する要件が揃っていれば、財産開示手続の実施決定をします。

 

③期日指定・呼出し等

財産開示手続実施決定が確定した後、執行裁判所は財産開示の期日や財産目録の提出期限を指定します。その後、申立人と開示義務のある者に対して、期日呼出状・財産目録提出期限通知書を送達して告知します。

 

④財産目録の閲覧・謄写

提出された財産目録は、民事執行法201条に掲げられた者に限り、財産開示期日前においても閲覧・謄写することができます。

 

⑤財産開示期日

❶財産開示期日は非公開で行われ、債務(開示義務者)は、財産開示期日に出頭して債務者の財産について陳述する必要があります。債務者(開示義務者)が財産開示期日に出頭しないこと・債務者の財産について嘘を述べたりすることは、刑事罰が科されるおそれがあります。

❷申立人は財産開示期日に出頭して、債務者の財産状況を明らかにするために執行裁判所の許可を得て債務者(開示義務者)に質問することも可能です。ただし、根拠のない探索的な質問や債務者(開示義務者)を困惑させる質問は許可されません。

❸債務者(開示義務者)が財産開示期日に出頭せず、執行裁判所が債務者(開示義務者)の財産開示期日への出頭が見込めないと判断した場合、財産開示手続は終了します。
次ページ「財産開示手続」改正の要因となった点

※本記事は、株式会社サステナブルスタイルが運営する相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』より転載したものです。

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