人生の中で、ローンなどの「借金」をし、債務者になることは少なくないと思います。その際、もし「財産開示手続」を迫られたとき、適切な対応を取らなければ、刑事罰を受ける可能性まで有るのです。そうした事態を避けるためにはどうすればよいのでしょうか。相続に必要な知識や相続を円満に進めるコツについて、後藤光氏が代表を務める株式会社サステナブルスタイルが運営する、相続・終活に関する情報を発信するwebサイト『円満相続ラボ』の記事から、一部編集してお届け。今回は、「財産開示手続」についてお伝えします。
財産開示手続が改正された背景
財産開示手続はなぜ改正されたのか、その背景をチェックしてみましょう。
財産開示手続はなぜ改正された?
財産開示手続が改正された理由について見てみましょう。
民事執行法は、勝訴判決等を得た債権者のために債務者財産に関する情報を開示する制度として、平成15年の改正により財産開示手続を導入しました。
しかし、その後の運用状況を見ると、債務者の財産状況を把握するという制度目的の実現に向けた実効性が十分でなく、利用件数もそれほど多いとはいえない実情があることがわかりました。そのため、財産開示制度の在り方を見直す対応をしています。
具体的には実効性の向上を図る必要があるとの指摘を受け、財産開示手続が改正されたのです。
背景をチェック
財産開示手続が改正された背景について見てみましょう。
財産開示制度が導入された経緯は、上述したとおりです。具体的な問題点として、3点あります。
①財産開示手続の実施要件が厳しいこと(改正前の民事執行法197条1項~3項
②財産開示手続の実施決定をしても、開示義務の違反に対する制裁が過料にとどまるために、債務者の財産について陳述すべき財産開示期日に出頭しない開示義務者(債務者、法定代理人、法人の代表者)が多いこと(改正前の民事執行法206条1項。改正前の民事執行法198条2項2号。
③債務者の財産情報取得は債務者の陳述に限られていたこと
そこで改正後の民事執行法は、後述するように、上記①②について改正し、上記③については「第三者からの情報取得手続」を新設したのです。
株式会社サステナブルスタイル
代表取締役
株式会社サステナブルスタイル代表。遺品整理の現場で残された家族の姿をたくさん見てきた経験から、明らかに「円満なご家族」と「不穏な空気のご家族」に分かれることに気がつき「円満な相続」を迎えるために何ができるだろう、と考えたことをきっかけに、2022年8月10日、23篇に及ぶ相続に関する実話を紹介する本「もう会えないとわかっていたなら」を出版。Amazonの日本文学(日記・書簡)カテゴリで1位を獲得。同書籍の抜粋転載記事は、Yahoo!ニュースのライフカテゴリでアクセス数1位を記録。
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連載相続・終活の疑問を解決!円満相続にたどり着く方法を具体例とともに徹底解説
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相続終活に関する情報提供はもちろんのこと、コラムを読んでくださった方が抱えている課題に合った相続の専門家の派遣も行っている。
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