(写真はイメージです/PIXTA)

2022年、米国株式は大きく拡大しました。その流れにのり、米国株式への集中すべきか、それとも分散させるべきか、ニッセイ基礎研究所の前山裕亮氏による分析です。

考え方次第で、どちらでも正解だが

これからも本当に米国株式に期待していいのだろうか。その鍵は、米国企業業績の今後の動向次第になると考えている。もし米国企業の業績の急成長が続くならば、今後も中長期的に米国株式は全世界株式を上回って上昇し続ける可能性が高いと思われる。つまり、米国企業の業績急拡大が今後も続くことを期待したり予想したりするならば、過去10年と同様に米国株式に集中投資するのが今後も最適な投資行動であるといえる。

 

ただ、2022年後半から米国企業の業績拡大に陰りがみえている。あくまでも一時的な鈍化かもしれないが、これまでの急成長が終わりに差し掛かっている可能性もある。そのため少しでも米国企業の業績に疑念をもつ、もしくは先のことはどうなるか分からないと考えるのであれば、米国株式だけでなく米国株式以外にも分散投資した方が無難である。

 

特に、これまで米国株式は株高も許容されてきた。12カ月先予想PERをみると、米国株式の予想PERは全世界株式と比べて相対的に緩やかながら上昇してきている【図表4】。このように株高が許容されている背景にも米国企業の業績の持続的拡大があったと思われる。もし、米国企業の業績拡大が鈍化し全世界株式並みに落ち着くと、これまでほど米国株式は株高が許容されなくなる可能性もある。

 

しかし、現在の米国株式が1990年代の日本株式のようなことになっていないのは確かである。仮に米国株式が全世界株式並みの株価水準まで価格調整が起こったとしても、過去10年の全世界株式以上に上昇した分すべてを吐き出すようなことにはならないだろう。

 

それでも今後の米国企業の業績や株価には注意が必要といえる。米国株式は2012年以降、好調過ぎただけに、今後はこれまでのようにならない可能性も十分ある。つまり米国株式に対して、過去のパフォーマンスはあくまでも参考値として、過度に期待しない方がよいと筆者は考えている。

 

【図表4】

【図表4】

過去のパフォーマンスは過去問と同じ

最後に余談になるが、大学入試や資格試験などを受験する際に過去出題された問題、いわゆる過去問を参考に対策する方がほとんどだろう。毎年、似たような問題が出題される場合が多いため、過去問から大体の出題傾向や問題の難易度などが分かりとても参考になる。ただ、過去問を参考にし過ぎて痛い目を見た方も多いのではないだろうか。例えば、ご自身で実際に受験した際に問題が過去問からガラッと変わって焦ったことは一度や二度はあると思われる。

 

資産運用における過去のパフォーマンスはけっして将来を保証するものではない。まさに試験勉強における過去問程度に捉えて参考にしていただくことを筆者はおすすめする。

 

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※本記事記載のデータは各種の情報源からニッセイ基礎研究所が入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本記事は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
※本記事は、ニッセイ基礎研究所が2023年2月7日に公開したレポートを転載したものです。

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