「バレンタインの悲劇」から4年…金融庁、エヌエヌ生命に「業務改善命令」へ!露呈し続ける「保険業界の人材不足とモラル低下」のお粗末

「バレンタインの悲劇」から4年…金融庁、エヌエヌ生命に「業務改善命令」へ!露呈し続ける「保険業界の人材不足とモラル低下」のお粗末
(※画像はイメージです/PIXTA)

金融庁が、エヌエヌ生命に対し、業務改善命令を出す方向で検討に入ったことがわかりました。対象となったのは過去の法人向け保険の「不適切販売」です。2019年2月に生命保険業界を震撼させた、いわゆる「バレンタインショック」から4年。そこから透けて見えるのは、保険業界の人材不足、そして、一部の税理士等の専門家の税法理論に対する知識不足・無理解等、生命保険業界の構造的・体質的な問題です。本記事で解説します。

◆個人のメリット

次に、個人(被保険者・経営者)側のメリットは、会社の資産を自分自身へと移転させることができ、かつ、所得税の実質的負担も抑えられるというものでした。

 

どういうことか、2021年6月25日以前の通達を前提に解説します。

 

低解約返戻金期間の最終年に会社から経営者個人へと名義変更を行います。その際、個人は、名義変更の対価として、解約返戻金相当額を支払うのです。

 

個人は1年分の保険料のみを支払い、翌年、解約返戻金の返戻率が90%前後にまで立ち上がった時点で解約し、解約返戻金を受け取ります。

 

この場合、個人が受け取った解約返戻金は「一時所得」と扱われます。一時所得の計算においては、課税対象となる額は低く抑えられます。

 

すなわち、課税対象となるのは、解約返戻金の額から、それまでに個人が会社支払った名義変更の対価と、名義へ交互に支払った1年分の保険料を差し引き、さらに50万円を差し引き、その「2分の1」の額のみです。

 

このように、会社の資産を個人に実質的に移転でき、しかも所得税が抑えられるということで、一時期、非常に人気を博しました。

 

◆「名義変更プラン」の終焉とその後の顛末

しかし、この「名義変更プラン」について、少なくとも、個人のメリットについて、前述した2021年6月の通達改正によって、現在は認められなくなりました。

 

2021年6月の通達改正は、名義変更時の解約返戻金の返戻率が70%未満の場合、保険契約の評価額を「解約返戻金相当額」ではなく「資産計上額」とすることにしたのです。

 

これによって、個人が保険契約を法人から著しく低い対価で譲渡(名義変更)してもらうことができなくなったのです。

 

しかも、その通達は2019年7月8日以降の契約にまで適用されることになりました。それによって、多数の法人契約者が影響を受け、「名義変更プラン」を積極的に販売していた一部の生命保険会社、代理店、営業マンは、顧客へのお詫びなど、対応に追われることになりました。

 

また、2022年7月には、金融庁が、「名義変更プラン」の販売に積極的だったマニュライフ生命に対し、業務改善命令を出しています。

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