医療保険が必要な人とそうでない人
◆余剰資金の貯蓄額があれば医療保険は不要?
世の中には、医療保険が必要な人とそうでない人がいます。
一般的にいわれる基準としては、「なくなっても困らない余剰資金の貯蓄額が数百万円程度あれば医療保険は必要ない」と考えられています。一方、貯金をするのが難しいから医療保険に入り、保険料を払っていた方がマシだと考える人もいます。
不要派の人は、たとえば貯蓄が数千万円あれば、がんになって治療費に100万円かかったとしても、特に生活に問題がないので、医療保険は不要という考え方でしょう。
しかし、果たして金銭的な問題だけで、医療保険の加入の是非を決めてしまって問題ないでしょうか。
確かに、経済的な合理性だけで考えると、医療保険に払う保険料を貯蓄しておけば、病気になった際にその貯蓄から捻出すれば問題ないわけです。
そして、むしろ「保険に入っていないから」という理由で健康にも気を配るようになればなおよいでしょう。そういう風に考えると、確かに医療保険が不要だという人の考え方も理解できますが、どれだけの人が毎月決めた金額を貯蓄できるのでしょうか。
筆者がファイナンシャルプランナーとして多くの家計相談を受けていると、よく思うのが、年収が上がったら「家を買おう」、「車を買おう」、「引っ越そう」、「旅行に行こう」、「ゴルフを始めよう」、「子どもを私立の学校に入れよう」など、入ってきた分、生活水準を上げてしまう人が非常に多いということです。
確かに、会社員は年収が上がると年収が下がりにくいので、よりよい生活をするという考え方は間違いないように思えますが、「貯蓄をする」という目的を考えると、この行動では一生貯蓄ができないことになります。
改めて、貯蓄の仕組みを説明すると、「手取り収入-支出=貯蓄」です。計算式では簡単ですが、収入が上がれば支出を増やしたくなるのが人間の欲というものでしょう。
この欲を無理やりに押さえつけてしまうとストレスになるのでよくないのですが、お金を使わないで楽しむことを覚えると、自然と支出が減り、貯蓄ができる家計になっていきます。お金のかからない趣味を持つことは、非常におすすめです。
◆医療保険は自分が病気になったときのことをイメージして加入を検討するとよい
医療保険の加入率は、生命保険文化センターの調査では「約9割」([図表1])といわれており、非常に高い加入率を誇っていますが、その理由には、経済合理性だけではない別の理由があるのではないでしょうか。