事業が失敗し借金2000万円…。「自己破産すればいいか」→じつはそう甘くない!実際に待ち受ける“厳しい現実”【経営のプロが解説】

事業が失敗し借金2000万円…。「自己破産すればいいか」→じつはそう甘くない!実際に待ち受ける“厳しい現実”【経営のプロが解説】
(※画像はイメージです/PIXTA)

お金のことを気にすることなく会社を運営できれば気楽でしょうが、残念ながら現実はそうではありません。経営に携わるかぎり、いつ何時でも資金繰りは切り離せない問題です。2020年に世界が一変してから、お金のことにより向き合わざるをえなくなった社長は数多くいるはずです。多くの経営者が必要とするお金に関する知識と、考え方について、大林誠一氏の著書『社長のためのお金のトリセツ』(かざひの文庫)で解説します。

自己破産について

「自己破産」がどのようなものであり、どんな制約があって、どういった場合に選択すべきなのか、または、してはいけないのかについて、意外と知らない経営者もいるのではないでしょうか。あくまでも万が一の話ではありますが、知識として持っておくに越したことはありません。

 

概略をお話ししておきます。どうにもならない状況に陥った場合、自己破産をしたほうがいいケースがあります。ただし、ギャンブルなどにはまってしまったがためにお金を借りて、立ち行かなくなって自己破産を繰り返すようなケースは別問題なので、割愛します。

 

問題は、事業の失敗で多額の借金を抱えてしまったようなケースですね。たとえば、個人の負債として1000万円や2000万円を抱えてしまった場合、その借金をコツコツと自分の給料で返すとなったら、どうでしょうか? 決して返せないものではないのでしょうし、人道的にも返済していくのが筋なのかもしれません。

 

ところが、たとえば月50万円の給料をもらえるようになり、そのうち20万円を毎月の返済に充てたとすると、それはとてつもなく大変なことです。一生かけて返すような話になってくるのではないでしょうか。

 

なおかつ、その状態では永遠にクレジットカードも持つことができません。クレジットカードを持てない制約のなかで、借金だけを返し続ける生活が、一生続くと思ったほうがいいような状況です。それは、かなり厳しいのではないでしょうか。

 

もちろん、商才があって「ポン!」と1000万円や2000万円の売上を上げて、マージンで500万円くらいをとれるような仕事をしているのであれば、話は別です。でも、そういったケースは極めて少ないでしょう。

 

さらに、借金が億単位の場合には、たしかに交渉をして返済計画を決めて、がんばって返すような方法もあるでしょう。でも、先立つものがなければ基本的には無理ではないでしょうか。

 

こういった場合は、自己破産を選択するのもひとつの手段なのです。

 

自己破産をすると、カードが持てず、借入もできない

そうは言っても、自己破産をしたときの制約も知っておく必要があります。まずは、自己破産をすると当然ながら、金融機関からお金を借りることができませんし、カードもつくれません。その期間は、金融機関で10年、クレジットカードは5〜7年程度です。ただし、この期間は表向きの話であり、じつは一生残ってしまうものなのです。

 

自己破産すると、その情報が「公示」されます。つまり、名前が公にされ、行政機関や裁判所に貼り出され、官報にも名前が載ります。自己破産をしたあとはどうでしょうか。まず、普通に生活はできます。会社員なら、普通に仕事も続けられます。

 

クレジットカードが使えない、つくれない、といった制限があるだけです。信販会社の分割購入もできなくなりますし、保証人になる権利も失います。親御さんがわが子の奨学金の保証人になろうとしても、少なくとも一定の期間はなることができません。ローンも、一定の期間は組むことができません。

次ページ破産が「破滅に繋がらない」ために。

※ 本連載は、大林誠一氏の著書『社長のためのお金のトリセツ』(かざひの文庫)より一部を抜粋し、再編集したものです。

社長のためのお金のトリセツ

社長のためのお金のトリセツ

大林 誠一

かざひの文庫

2020年に世界が一変してから、お金のことに向き合わざるをえなくなった社長は数多くいるはずです。 お金に対する基本の考え方、税金の扱い方、融資や資金繰り、雇用に関する知恵、交渉や未来の戦略のこと…。 お金から目を…

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