銀行へは“まだ必要のないときに借りておく”──金融機関に「貸したい」と思われる会社が“意識してやっていること”

銀行へは“まだ必要のないときに借りておく”──金融機関に「貸したい」と思われる会社が“意識してやっていること”
(※画像はイメージです/PIXTA)

お金のことを気にすることなく会社を運営できれば気楽でしょうが、現実は残念ながらそうではありません。経営に携わるかぎり、いつ何時でも資金繰りは切り離せない問題です。2020年に世界が一変してから、お金のことにより向き合わざるをえなくなった社長は数多くいるはずです。多くの経営者が必要とするお金に関する知識と、考え方について、大林誠一氏の著書『社長のためのお金のトリセツ』(かざひの文庫)で解説します。

銀行から融資を受けるときに気をつけること

1.銀行からは「必要がないとき」に借りておく

銀行から融資を受けるにあたっては、まだ借りる必要のないうちに借りておくべきです。

 

ただし、そうは言っても、はじめてその銀行から融資を受ける際には、いきなり1000万円を借りようとしても通りません。金融機関との取引は、最初に顧客登録をして口座を開設する際にはこちらの都合でいいのですが、お金を借りるときには話が別です。

 

いくら、「借りる必要がないうちに借りよう」と思っても、ほとんど取引のない段階で1000万円や2000万円といった金額の融資はまず通りません。

 

2.「保証協会」といった、銀行のリスクがない融資で実績を積み上げる

金融機関が企業を判断するときには、まず「格付」という企業に対する評点を見ます

 

その格付には、その企業が初回の取引なのか、決算を何期行ってきたか、黒字なのか赤字なのか、何期黒字が続いているのか、どれくらいの規模なのか、売上はどうなのか…といった情報も反映されて、融資の枠が決まります。

 

それまで取引の実績がないのであれば、格付によって初回だから100万円、300万円、500万円、1000万円と、売上や利益の数字次第で金額が決定することになるでしょう。初回でいきなり銀行単独の「プロパー」と言われる融資(信用保証協会などを通さない、銀行からの直接融資)を受けようと思っても、100万円でも簡単ではありません。

 

ですから、まずは日本政策金融公庫の「セーフティネット貸付」やコロナ関連融資、「保証協会付け」と言われる政府系の融資など、比較的審査が通りやすいものを利用しましょう。これらの融資について、これから取引をしたい銀行を窓口にして口座を開けることを最初に行います。

 

銀行単独の融資ではなく、保証協会が保証して銀行が融資をするような、500万円や1000万円といった、小口でお金を出しやすいものを利用するべきです。そして、借入実績や返済実績をつくります

 

そうすれば、金融機関も「あなたの会社は売上もいいし返済もきちんとしているので、とりあえずプロパーで500万円、1000万円をお貸ししましょうか」という話に発展していきます。

 

3.銀行が「貸したい」と思う会社になろう

銀行も営利企業です。銀行の営業マンとしても、やはり優良な会社に貸したいと思っています。融資実績が求められているのですから、当然です。

 

たとえば、コロナ関連融資で資金調達したとしても、3年据え置き、5年据え置きであれば返済がはじまっていないので、まだ返済実績があるわけではありません。

 

ただし、決算や売上予測がよい会社には、銀行も借りてほしいと考えています。うまくまわっている会社に対して、銀行は、「決算も3期になったから格付を上げました。融資枠もあげたので、3000万円や5000万円くらいを貸しますよ」と言ってきます。

 

そうなれば、理想的な融資の流れが生まれていきます。業績がいいときに銀行の融資枠を確保するよう努め、小口の資金を借りて実績づくりをしておかなければいけません。

 

でなければ、いざ困ったときに融資をお願いしても、プロパー融資を受けることができないからです。会社の業績がいいうちから、お付き合いのある銀行を、持っておくようにしましょう。

 

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※ 本連載は、大林 誠一氏の著書『社長のためのお金のトリセツ』(かざひの文庫)より一部を抜粋し、再編集したものです。

社長のためのお金のトリセツ

社長のためのお金のトリセツ

大林 誠一

かざひの文庫

2020年に世界が一変してから、お金のことに向き合わざるをえなくなった社長は数多くいるはずです。 お金に対する基本の考え方、税金の扱い方、融資や資金繰り、雇用に関する知恵、交渉や未来の戦略のこと…。 お金から目を…

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