既存の債権を別の条件の債権に転換するDDS
③「資本的劣後ローンを使った債務超過の解消」は、DDSと呼ばれる金融上のテクニックを使った会社再生手法です。
まず、劣後ローンとは、返済順位が他の債権より低い、無担保の貸出債権のことです。資本的劣後ローンは、劣後ローンの中で資本的な扱いをすることが認められているものを意味します。
この再生手法では、既存の債権を別の条件の債権に転換するDDS(Debt For Debt Swap デット・デット・スワップ)を使い、自社の債務を資本的劣後ローンに変え、債務超過を解消するわけです。
その結果、図表1のように自社のバランスシートが改善されることになるので、金融機関から一定期間、返済の猶予を受けることが可能となり、資金繰りが安定することになります。また、新規の融資も受けやすくなります。
DESの活用も選択肢のひとつに
一方、バランスシートを改善する方法としては、DES(図表2)と呼ばれる手段も選択肢の一つとして考えられます。
DESとは「Debt Equity Swap デット・エクイティ・スワップ」の略で、負債(デット)を資本(エクイティ)に交換(スワップ)するということです。
具体的には、時価で買い取った債権を普通株かもしくは種類株に転換し、企業の債務を圧縮するわけです。債務が株式に変わるので、資本的劣後ローンと同様に、資本が増えることになります。
もっとも、DESは、債務が株式に変わる結果、貸し手側に議決権が付与されることになるので、自社の経営に干渉される可能性が高まります。逆にいえば、資本的劣後ローンであれば、経営者は議決権を維持することができます。つまり、DDSを使えば、会社の支配権を失わずに事業の再生を図ることが可能となるわけです。