5.企業業績と株式
<現状>
S&P500種指数の1月の1株当たり予想利益(EPS)は227.2で、前年同月比+0.3%(前月同+3.2%)となりました。前月比は▲1.5%と5ヵ月連続のマイナスです。一方、TOPIXの予想EPSは156.6、伸び率は同+7.8%(前月同+10.0%)でした。前年比が1ケタ台の伸びとなったのは21年4月以来です。1月の米国株式市場は堅調でした。米国株式市場は、12月の消費者物価上昇率の伸び鈍化でインフレ懸念が後退したこと、主要企業の決算が好調なこと、10-12月期の実質GDP成長率が市場予想を上回り、景気後退懸念が和らいだこと、などが支えとなりました。NYダウは前月比+2.8%、S&P500種指数は同+6.2%、NASDAQ総合指数は同+10.7%でした。日本株式市場は米国のインフレ懸念の後退と米長期金利の低下が追い風となったものの、日銀の政策変更を睨み、米ドル/円レートが意識され、上値が抑えられました。ただ、中国のゼロコロナ政策の実質放棄が先行きの中国景気を押し上げるとの期待が下支え要因の1つになったと思われます。日経平均株価は前月比+4.7%、TOPIXは同+4.4%でした。
<見通し>
S&P500種指数採用企業の22年10-12月期決算発表がスタートしています。増益率(純利益ベース、TOPIXも同様)は前年同期比▲2.9%、除くエネルギーセクターで同▲7.1%と予想されます(23年1月27日時点。リフィニティブ集計で進捗率29%)。続く23年1-3月期は前年同期比▲1.2%、4-6月期が同▲2.0%となる見通しです。一方、除くエネルギーセクターの1-3月期見通しは同▲2.9%ですが、4-6月期には同+2.2%と5四半期ぶりに増益に転じる見通しです。一方、TOPIX採用企業の22年10-12月期の増益率は前年同期比+0.01%の見通しです(23年2月1日時点。除く金融、QUICK集計で進捗率26%)。日米ともに業績の方向性が注目されそうです。
6.為替
<現状>
円相場は対米ドルで続伸しました。先月末132円近辺だった円の対米ドルレートは、月末130円台で終了しました。円は、インフレのピークアウト傾向を受けた米長期金利低下や日銀の政策修正の思惑から月中旬に127円台まで上昇しました。しかし、日銀が金融政策を維持したことを受けて、その後は129~130円台を中心にもみ合う展開となりました。一方、円の対ユーロレートは下落し、1ユーロ=141円台で終了しました。欧州景気に対する過度な懸念が和らぎ、ユーロが堅調な展開となりました。また、中国景気回復期待などから円は豪ドルに対しても売られ、円の対豪ドルレートは1豪ドル=91円台に下落しました。
<見通し>
円の対米ドルレートは、レンジを切り上げつつ緩やかに上昇する展開を予想します。日米金利差の絶対水準や資源価格高に伴う日本の貿易収支悪化から、円の上昇余地は限られるものの、米国のインフレがピークアウトするなか、FRBの利上げ打ち止めと日銀の金融引き締めが意識され、米ドルは弱含む展開を予想しています。円の対ユーロレートは、レンジ内のもみ合いを予想します。ECBのタカ派姿勢がユーロのサポート要因となる一方、日銀の政策修正も意識されるためです。また、円の対豪ドルレートも、相対的に堅調な豪州景気がサポート要因となる一方、日銀の金融政策修正が意識されるため、もみ合う展開を予想しています。