(※写真はイメージです/PIXTA)

上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外を投資対象とするオルタナティブ投資。一般的に、オルタナティブ投資は伝統的資産への投資との相関性が低いとされており、伝統的資産への投資とオルタナティブ投資を組み合わせることで、リスクを分散する効果が期待できます。本記事では、オルタナティブ投資のなかでも、2022年、国内企業のM&A件数が過去最多の4,304件に達し、注目を集めるプライベート・エクイティ投資を専門家が分かりやすく解説します。

プライベート・エクイティ投資とは?

近年プライベート・エクイティ投資(以下、PE投資)に関心をもつ投資家が増加していると耳にします。一言でPE投資、と言っても投資戦略の規模は様々です。今回はPE投資について解説をしていきたいと思います。

 

PEとは公開市場で取引されていない未上場企業の株式を指します。友人が創業した企業への株式出資も広義にはPE投資といえますが、より大規模になっていくのがファンドを通じたPE投資戦略になります。

 

PE投資には大きく区分して以下の戦略があります。

 

① バイアウト戦略:成熟した企業への経営権を取得した上で企業価値向上を実施


② グロース・キャピタル戦略:企業成熟度が増したスタートアップへの更なる成長資金の供給


③ ベンチャー・キャピタル戦略:スタートアップなど成長ステージの初期~後期にかけて出資


④ 企業再生投資:経営不振に陥った企業の立て直し


⑤ ディストレスト投資:経営破綻企業への投資

バイアウト戦略の特徴

日本においてPEファンドによる企業M&A案件は2021年には過去最高水準に達し、約2.7兆円規模、134案件となっています(注1)。

 

昨今では外資系大型バイアウト・ファンドの存在感が増しています。例えば、多角経営を行っているコングロマリット企業が、より採算性の高い事業への資本集中を行うために、こうしたPEファンドへ、ノン・コア(非中核)事業体をカーブ・アウト(分割)して売却することがあります。

 

ノン・コア事業体はテコ入れ余地が大きいと考えられており、バイアウト・ファンドはその企業価値をより上昇させやすい企業へ投資を行います。また上場企業を未上場化して、その間に企業価値を上げ再上場など行います。

 

こうしたバイアウト・ファンドは、3~6年ほどかけて経営陣リソースの供給、オペレーションの効率化、財務体質健全化などを行い、企業価値を上げていきます。そのため企業側としてもポジティブなパートナーシップさえ築くことができれば、中長期的にはプラスであるということで、昨今では肯定的に受け入れられるケースが増えているようです。

 

また、バイアウト戦略はLBO(レバレッジド・バイアウト)とも言われる通り、ファンドが借入によって資金調達をして投資を行うことから、昨今の欧米での利上げ局面では取引数が減少傾向にあります。一方、低金利を維持している日本では、今後もバイアウト戦略の取引数は維持されていくと思われます。

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