(※写真はイメージです/PIXTA)

上場株式や債券といった伝統的資産と呼ばれるもの以外を投資対象とするオルタナティブ投資。一般的に、オルタナティブ投資は伝統的資産への投資との相関性が低いとされており、伝統的資産への投資とオルタナティブ投資を組み合わせることで、リスクを分散する効果が期待できます。しかし、投資前に理解すべきリスクもあります。本連載では、オルタナティブ投資を始めるにあたり知っておきたい様々なトピックについて、専門家が分かりやすく解説します。

オルタナティブ投資の定義

最近オルタナティブ投資という言葉を耳にしませんか? そもそもオルタナティブ投資とは一体何でしょう。

 

筆者は長年運用業界で、オルタナティブ投資がまだまだ浸透していない時期からプロ投資家である機関投資家に当投資のご提案をしてきました。機関投資家にその投資効果が認識されたオルタナティブ投資は、年々その投資残高が上昇し、今や世界では13兆米ドル(1,800兆円超)規模と言われています(注1)。

 

本稿では少しでも個人投資家の皆様にオルタナティブ投資を身近に感じてもらえるよう、オルタナティブ投資を紐解き、その投資意義と今後の投資機会について複数回にわたり解説していきたいと思います。

 

オルタナティブ(Alternative)は「代替の」「その他の」という意味があります。そもそも何の「代替」なのでしょうか。

 

投資の世界では、もともと債券や株式が投資対象とされてきたため、公開市場で取引される株式や債券が「伝統的資産」と言われています。オルタナティブ投資はその「伝統的資産」に対する「代替の」資産となり、投資対象として本格化したのは比較的後発で1980年代以降といえるでしょう。

 

 

一般的に「伝統資産」である公開株式、債券投資以外のものをオルタナティブ投資と総称することから、その範囲は広域にわたります。 例えば未上場株や不動産や美術品といった実物資産、私募融資などのローン債権、オプションなどのデリバティブを駆使した投資手法などもオルタナティブ投資となります。

 

そしてこれらの投資対象への投資をする投資戦略をプライベート・エクイティ(バイアウト、ベンチャーキャピタル)投資、不動産・インフラ投資、プライベート・デット戦略、ヘッジファンド等と呼びます。

オルタナティブ投資戦略と対象

オルタナティブ投資戦略と対象をまとめると以下のようになります。

プライベート・エクイティ投資

非公開企業株式への投資。スタートアップ企業への投資を行うベンチャーキャピタル戦略や、成熟した未上場企業の経営権または上場企業の株式を買収し未公開化するバイアウト戦略、またはその間のグロース・エクイティ戦略まで広義においてプライベート・エクイティ(未公開株)への投資と言うことができます。

 

例えば家族や友人が始めた小さな会社に付き合いで少額出資した場合も「非公開株式」への投資になります。

不動産・インフラ等の実物資産投資

不動産や、橋・上下水道・空港・再生エネルギー発電などインフラ資産への投資。個人でいうと、例えば投資用に不動産を購入して家賃収入を得る、または改修工事をしてより高値で売却するのも不動産投資ですし、太陽光発電への投資などはインフラ投資と言えます。

プライベート・デット(クレジット)投資

公開市場での資金調達以外のローン債権への投資。ダイレクト・レンディングなどの私募融資、ディストレスト証券投資なども含まれます。

 

(注1)データ出所Preqin社。13.3兆米ドル(円換算1米ドル140円)

次ページまだまだ続く、オルタナティブ投資戦略と対象

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