「次の30年」への対処法
自他をある程度信用し、自分はやれることに注力
「次の30年」において、「理想」は、30年間ずっと続ければ報われると考えられるものの、「現実」は、株式市場「全体」のリターンが長期間低迷して資産運用をあきらめる人が出てきても不思議ではありません。
資産運用を続けるための解決策は、
①長期ではなく、超長期の平常心を保つ…インデックス投資の場合には、インフレに負ける期間がどれほど長く続こうとも資産運用を継続する胆力か鈍感力を身に付ける
②市場全体には頼らない…アクティブ・ファンドに投資をする
③市場全体には頼らない…銘柄を選択する
となるかもしれません。こうした場合はたいてい、すべてに分散することが答えです。
とはいえ、超長期の胆力や鈍感力を身に付けるのは簡単ではないでしょう。
アクティブ・ファンドについては、たとえ長期の実績があり、強固な運用哲学を持つファンドでも毎年勝てるわけではありません。ですから「共感できる運用哲学」を持つファンドや運用会社を選ぶことが重要です。「ファンになれるかどうか」が判断基準といえるでしょう。
ちなみに筆者は、銘柄選択を除外します。
ダリオがよく言いますが、金融市場には、投資の研究に、億単位のお金をつきごみ、過去数百年の歴史を調べ、24時間365日、良い銘柄を探しているプロが大勢います。ヘッジファンドもそうですし、上記のアクティブ・ファンドの運用者も同様です。
勝つためにはまず、相手がどんな人なのかを考えなければなりません。たとえば、麻雀やポーカーにも運の要素がありますが、プロにチャレンジしようとは思わないでしょう。また、そのプロに自分のお金を増やしてもらおうと思う場合、いくらかのコストを負担するでしょう。
資産運用の成果=(現在の投資金額+将来にわたる所得-将来にわたる消費)×将来にわたる収益率、です。
このうち、銘柄選択は「将来にわたる収益率」を高める要素です。筆者は、非力な市場参加者としてプロと戦うことに時間を使うよりも、その部分は市場全体やプロに委ね、「将来にわたる所得」を高めることに時間を使うほうが、資産運用の成果を増やす近道であると考えています。
まとめると、
①自分の鈍感力や胆力もある程度信じ
②厳しい世界で生き残っているアクティブ・ファンドの運用者もある程度信じる
③自分は自分ができることに注力する
といったところでしょう。
<<【画像】30年間、毎月1ドルずつ積み立て投資をした場合のシミュレーション>>
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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