「アイマスクをして歩く体験」を勧めないワケ
彼女は、「だんだん垣根がなくなくなってくように感じる」と言ってくれました。こんな初歩的な話でも、伝えていく事の必要性を感じます。
年に数回、視覚障害者と共に学校へ出前授業に行きます。そんな時、生徒たちにアイマスクをして歩く体験をさせてほしいと先生から頼まれる事がありますが、現在私が理事長をしているNPO法人では、小中学校でのアイマスク体験をお勧めしていません。
それをしても、子どもたちには怖いという印象ばかりが残り、「あんなに怖い中で毎日を過ごしているのは可哀想だ」と思ってしまう心配があるからです。
障害がある事で、可哀想だと思われる事に反発する当事者や、そのご家族はとても多いものです。障害があるという事は、何か不便があるという事ですが、周りの人にぜひその不便を知ってもらい、一つひとつ不便を減らすための協力はしてほしいけれど、可哀想だとか気の毒に思ってほしいのではなく、反対に大袈裟に誉めてほしいわけでも無いと言います。
この気持ち、もし自分だったら、と考えるとおわかりいただけるのではないかと思います。
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伊藤 順子
NPO法人 UDほっとねっと 理事長