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後継者が事業を引き継ぐときにかかる税金負担を猶予する「事業承継税制」。手続きが複雑かつ期日が決まっていることもあり、活用にはいくつもの壁も。今回は個人版、法人版と2種類あるうち、「法人版事業承継税制」を中心に解説していきます。

相続税や贈与税が実質ゼロになるとは

多額の贈与税や相続税は、事業承継税制の活用により実質0円にできます。税金の猶予を受け続けることで、最終的に免除してもらえるためです。具体的にどのようなタイミングで免除されるのか解説します。

納税猶予と納税免除の違い

『納税猶予』と『納税免除』は言葉が似ており、混同している人もいるかもしれません。まずは違いを確認しましょう。

 

●納税猶予:税金の支払いを遅らせて余裕を与えること、時期が来たら支払いが必要

●納税免除:税金の支払いをしなくても済むこと、税金が0円になるため支払いは不要

 

最終的に支払う必要があるのか否かが相違点です。

納税免除となるタイミング

事業承継税制は納税猶予を受け続けていると、いずれ納税免除になります。贈与税が免除されるタイミングは下記のとおりです。

 

●先代経営者の死亡時

●後継者の死亡時

●後継者が次の代へ事業承継税制を使い事業承継したとき

 

相続税の免除が行われるタイミングも確認しましょう。

●事業承継された相続人の死亡時

●事業承継された相続人が次の代へ事業承継税制を使い事業承継したとき

 

次の代へと企業のバトンが渡されることで、税金が免除される仕組みになっています。加えて特例措置により免除されるケースもあります。

たとえば後継者がやむを得ず会社の代表権を手放し、次の代の後継者へと贈与して、次の後継者が納税猶予を受ける場合は納付免除です。

事業承継税制の種類

事業承継税制は『個人版事業承継税制』と『法人版事業承継税制』の二つに分類できます。それぞれの特徴を見ていきましょう。

個人版事業承継税制

個人版事業承継税制は2019年度の税制改正で創設されたものです。個人版事業承継税制ができたことで、個人事業主の事業承継にも活用しやすくなりました。事業者の後継者として都道府県知事による経営承継円滑化法の認定を受け、個人事業主の事業用資産を引き継ぐと、贈与税や相続税が猶予されます。そして後継者の死亡といった理由により、税金が免除される仕組みです。法人版と比較し手続きがシンプルに設計されているため、個人でも利用しやすいでしょう。

法人版事業承継税制

一方、法人版事業承継税制は、2009年4月に施行された制度です。2018年に行われた税制改正により設けられた特例措置により、贈与税と相続税の負担がなくなりました。全ての株式が猶予の対象となったためです。従来の一般措置では、対象になる株式数と猶予される税額の割合が決まっており、利用しても納税が必要な仕組みでした。事業承継を後押しするために、これまでの縛りを撤廃する制度となっています。

 

ただし特例措置は2027年12月31日までの期間限定です。利用を検討しているなら、早めに動き出さなければいけません。

次ページ猶予された税金が課税されるケース

本連載は、税理士法人チェスターが運営する「税理士が教える相続税の知識」内の記事を転載・再編集したものです。専門家監修のもと慎重に執筆を行っておりますが、万が一記事内容に誤りがあり読者に損害が生じた場合でも当法人は一切責任を負いません。

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