損害に備えて任意でも保険に入ることがベスト
1万円を超える被害に備えて入っておきたいのが、損害保険です。具体的には、家財保険に入ります。たとえば、部屋のテレビを壊されたとか、洗面所にあったドライヤーを盗まれてしまったなど、ホストが所有する家財が盗難にあったり破損されてしまった場合には、家財保険がそれをカバーしてくれます。
家財保険の補償対象は、家財の破損や盗難だけでなく火災も同時につけておきたいものです。そうすることによって、思わぬ失火にも対応でき、痛手を最小限に食い止めることができます。つまり、Airbnbで最初からついている補償に加えて、任意でも保険に入ることがベストだということです。
通常、賃貸マンションのオーナーは1棟まるごとカバーできる保険に入っています。名称としては火災保険となりますが、その補償範囲は火災に限らず、居室の設備が壊れたときや共用部で付属物が壊れたときの物損被害もカバーしてくれる場合があります。
ただし、ここで注意しなければいけないのが補償の範囲です。実は火災保険の範囲は、あくまで1棟物の「共用部」に限定されます。廊下や階段、エントランスなどの共用部はカバーされますが、各個別の部屋の中に関する保険というのは基本的にカバーされていません。
たとえば、水漏れ被害が起きた場合を考えてみます。Airbnbでは、長期間滞在するゲストのために洗濯機を貸し出すのが普通ですが、使い慣れていないゲストが洗濯をしていて、そのまま忘れて外出してしまったとします。一日中水を出しっぱなしにしていたら、水が溢れ出し、夜に帰ってきたら部屋が水浸しになっていました。これは決して稀なトラブルではなく、実際に国内のAirbnbで起こっている事例です。
この場合の水漏れ被害は、共用部でなくゲストの居室で起こっています。すると、家財保険・火災保険でしかカバーができません。もし階下の水漏れ被害の全額をオーナーが負担しなければならないということになると、相当な金額が必要となります。そうした最悪の事態を避けるためにも、個別の部屋ごとに家財保険・火災保険をつけることが大事なのです。
実際に被害が起きた場合には、金銭補償は保険会社が負担してくれます。つまり、床が水浸しになったとしても、床を張り替える費用や、階下に漏水をしてしまった場合の補償や復旧費などは、オーナーは一切被る必要がないのです。個別の部屋ごとの家財保険は、1棟オーナーに限らず、全ホストが必ず入るべきです。
「被害を受けたら警察」という発想を持つ
安全なAirbnb運営のために、保険に追加で入り万全な態勢をつくるという発想を持ちましょう。少額の損害であっても、デポジットの金額を上回ったり、Airbnbの運営上に支障をきたすような盗難があった場合には、保険会社に請求してみてください。決してオーナーの泣き寝入りがあってはいけません。
たとえば、窓ガラスを割られた場合です。これも警察に届ければ、立派な被害として扱われます。誰が割ったのかということ自体は、どのゲストが泊まったという宿泊記録で分かりますから、特定はスムーズです。ここでは、ホストが受けた被害を警察に報告することで、事故扱いとして事故番号をもらうというのがポイントです。
日本人は遠慮深いのか、トラブルを大事にしたくない思いが働くのか分かりませんが、「被害があったら警察」という発想になりにくいようですが、ぜひ警察を呼んで、実際の被害を見てもらい、事故番号をもらってください。公的に証明してもらうことで、保険金をスムーズに受け取ることができるようになります。
ほかにもデポジットの1万円を超える被害はざらにあります。主なものを挙げておきます。
①水漏れ
水漏れが起きると、少額のデポジットでは済みません。一度水漏れが起きると、金額としては50~100万円くらいが修繕に必要となります。特に階下漏水が起こった場合には、目も当てられません。しかし、実際には起こり得ます。
②空調や給湯器の故障
築年数が経った物件を貸している場合、エアコンや給湯器などセンサー式のものが古くなっていることがあります。実際に宿泊中によくある問い合わせが「空調が動かなくなった」というものなのですが、見てみると本当に寿命で故障していたりして、古いためにまるごと修理しなければならず、予想外の出費で痛手となることがあります。もし、古いビルで新規にAirbnbを始める場合にはその修理費も見込んでおいたほうがいいかもしれません。
③鏡やガラス、壁の破損
旅行にも慣れてきて、酔ったまま部屋に戻ってきて、暴れてしまうゲストもいます。壁に穴が空くほどの力で思い切り壁を叩くような方もいます。壁にヒビが入ったり、ガラスや鏡が割れることもあります。
④家電の破損
家電も高いものだと大きな被害になります。テレビが破損されると、1万円のデポジットでは対応できない場合があります。また、シャンデリアなど照明器具にこだわりを持っている場合にそれが壊されてしまうと、被害額は大きなものになります。
⑤汚損
汚損も見逃せません。ゲストの中には、コンビニやスーパーで買ってきたお菓子やお酒を部屋に散らかす人たちもいます。何日も泊まると、大量の廃棄物が残っている事態になります。すぐに清掃できれば良いのですが、1週間の滞在など長期の場合、チェックアウトしてからしか入れません。入ってみたら大量のコバエがわいていたという事例もありました。もっと怖いのが、吐瀉物などによる汚損です。壁紙や寝具が修復不能なくらい汚されることもあります。部屋そのものに悪臭が残ってしまうこともあります。