成果を上げるチームをつくるには「信頼」がものを言う
機能体と共同体のバランスを考える際に注目したいのが3つの「信」による関係性です。
「信用」は、相手に対する理性的判断で、評価基準を超えたところで納得されて結びつきます。一方通行の関係です。
「信頼」は、互いの感情的結びつきで、双方向の関係です。ここでは仕事ができるかどうかといった評価にかかわらない関係性です。
「信仰」は、熱狂的なつながりです。理由なく教祖を見上げているような状態です。
チームとして成果を上げ続けるためにはさまざまな要素がありますが、ひとつに絞れといわれたら、最後に残る決定的要素は「信頼」です。
神経経済学という分野の研究を進め、オキシトシンと信頼の関係を初めて解明したチームの1人、クレアモント大学院大学のポールザック教授が『TRUST FACTOR トラスト・ファクター~最強の組織をつくる新しいマネジメント』という書籍のなかで、チーム戦略に信頼の文化を取り入れることの重要性について述べています。
例としてスポーツチームをみてみましょう。勝率の高いサッカーチームがあり、要因を研究したところ、そのチームの監督だけがやっていた行動がありました。ゴールを決めたとき、最初に抱きあって祝福したのは得点を決めた選手ではなく、監督の隣でゲームを見守っていた用具係だったのです。
チームを勝利まで導いたのは、直接得点を決めた選手だけでなく、用具係をはじめチームとして貢献するすべての人の働きです。監督はチームメンバーの関係性を重視し、一見すると成果に直結していないようにみえる用具係を最初に祝福しました。得点した選手を最初に褒めれば成果を第一とする機能体となり、信用の文化のなかでチームの関係はギスギスしてしまいます。
「信頼の文化」は、直接の成果でなくチームとして貢献したすべての人を祝福することで育つのです。
「信頼の文化」を育むための「3つ」の問い
信頼の文化をどのように育てていけばよいか。そのヒントは問いの立て方にあります。
「仕事」は順調?
メンバーの仕事上での学びや変化を問います。
「志事(しごと)」は順調?
人生が前に向かっているかを問います。
「私事(しごと)」は順調?
よりプライベートな充実を問います。
このとき重要なのは、「順調」の内容は成果を聞くのではないというところ。内容で評価をするわけではありません。問いかけられたメンバーが、自ら学びや変化を感じ取っているかを問うようにします。声をかける頻度の目安は、「仕事」は週に1回、「志事」は半年に1回程度でしょうか。「私事」は毎日でも構いません。こまめにコミュニケーションの密度を高めましょう。
矢嶋 収
株式会社WellGo 営業戦略部
マーケティング責任者 兼 セールス