2021年から2022年にかけて、多くの産業が半導体不足によって混乱しました。とりわけ自動車産業は、減産を余儀なくされて納車が大幅に遅れるなど、需要が戻るなかで深刻な供給不足に陥りました。足元はやや落ち着きを取り戻しつつありますが、半導体市場は今後どうなっていくのか。現況と見通しについて、アライアンス・バーンスタイン株式会社のシニア・インベストメント・ストラテジスト、穂谷 栄一郎氏が解説します。
需要が高まるなか…「寡占市場」の半導体業界
――半導体は分野によって細かく複雑に分かれていると思いますが、市場がさらに拡大するなか、実際にいまどのようなプレーヤーがいるのでしょうか?
穂谷「半導体市場は、ネット企業やソフトウェア企業と違い、非常に限られたプレーヤーで占められています。
たとえば、半導体の演算処理のロジック。こちらは『インテル』や『エヌビディア』をはじめ、半導体の設計をする会社です。そして、半導体を実際に作るファウンドリ、こちらは『TSMC(台湾セミコンダクター)』などが挙げられます。
また、記憶を司るメモリ。こちらは韓国の『サムスン』や日本の『KIOXIA』などが代表的です。さらに省力化に欠かせないパワー半導体やイメージセンサー、アナログ半導体なども重要な領域です。
設計・製造全体で53兆円の市場規模がありますが、ロジックで21兆円、メモリで18兆円、その他15兆円となっています。さらに今後自動運転やAIなどが増えると、演算処理をするロジック部門がより拡大する見込みであるといわれています。
さらに、設計支援や製造装置、素材といった周辺産業も、数少ないプレーヤーに限定されているのです。
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カメハメハ倶楽部とは?
運用戦略部/責任投資推進室 シニア・インベストメント・ストラテジスト
2019年9月に入社。内外のマクロ経済及び金融市場の分析や運用戦略に関するストラテジストを務める。
以前は2016年よりフィデリティ投信の金融市場調査室にてグローバル投資環境の見通し等を担当。また、2011年から2016年まではブラックロック・ジャパンにおいて運用リサーチ及び商品企画・開発などに従事。1997年から2011年までは、みずほ証券で、投資情報部や米国現地法人にて勤務。長年にわたり、経済・市場ウォッチャーとして日本経済新聞などに加え、テレビ東京「モーニングサテライト」や日経CNBCなどの経済情報番組など、多数のメディアにおいて情報発信を行っている。2014年に国際大学大学院国際経営学研究科修了(MBA取得)。
在籍:東京(アライアンス・バーンスタイン株式会社)
著者登壇セミナー:https://kamehameha.jp/speakerslist?speakersid=10041
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