2021年から2022年にかけて、多くの産業が半導体不足によって混乱しました。とりわけ自動車産業は、減産を余儀なくされて納車が大幅に遅れるなど、需要が戻るなかで深刻な供給不足に陥りました。足元はやや落ち着きを取り戻しつつありますが、半導体市場は今後どうなっていくのか。現況と見通しについて、アライアンス・バーンスタイン株式会社のシニア・インベストメント・ストラテジスト、穂谷 栄一郎氏が解説します。
“人間の脳まで”の制約解除…半導体が「主役」の時代に
穂谷「半導体機能そのものも進化し、いわば“増殖”することが予想されます。[図表3]は、横軸にデータ量、縦軸にデータ処理速度を置いた、「半導体に求められる機能」についての位置づけです。
これまで多くの電子機器などに内蔵された半導体の機能は、人間の脳で処理する速度までしか求められていませんでした。半導体の性能には、ある意味「制約」がかけられていたのです。
また、当然そうした電子機器の需要に左右され、その1部品である半導体はそれ以上の波にさらされてきました。
ところがAIや量子コンピューティング、それらを活用したスマートインフラなどが拡大していくと制約が解除され、さまざまな使用用途に応じて大量に・迅速にデータを処理する機能が求められ、半導体こそが主役になってきます」
――これまでは電子部品の1部品として、いわば「下請け業者」のような存在だった半導体が、徐々に今後さまざまな社会インフラに実装されることによって、その半導体の性能こそが社会全体に影響をおよぼす。いわば「主役に踊り出る」可能性があるということですね。
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カメハメハ倶楽部とは?
運用戦略部/責任投資推進室 シニア・インベストメント・ストラテジスト
2019年9月に入社。内外のマクロ経済及び金融市場の分析や運用戦略に関するストラテジストを務める。
以前は2016年よりフィデリティ投信の金融市場調査室にてグローバル投資環境の見通し等を担当。また、2011年から2016年まではブラックロック・ジャパンにおいて運用リサーチ及び商品企画・開発などに従事。1997年から2011年までは、みずほ証券で、投資情報部や米国現地法人にて勤務。長年にわたり、経済・市場ウォッチャーとして日本経済新聞などに加え、テレビ東京「モーニングサテライト」や日経CNBCなどの経済情報番組など、多数のメディアにおいて情報発信を行っている。2014年に国際大学大学院国際経営学研究科修了(MBA取得)。
在籍:東京(アライアンス・バーンスタイン株式会社)
著者登壇セミナー:https://kamehameha.jp/speakerslist?speakersid=10041
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