合格させてあげたい!燃える親とは裏腹に、子どもは…
「なんとか医学部受験を成功させてあげたい」という保護者さまの気持ちとは裏腹に、肝心の本人が煮え切らないという場合も少なくありません。「自分はどちらでも良い」とか「別にどうしても医学部に行きたいわけじゃない」と口にしたりするのです。このようなケースは決して稀でなく、よくある話です。
そんな時は一体どのようにしていけば良いのでしょうか。
まずは、保護者さまは「医学部に行ってほしい」と本人に言わないことです。
そうお伝えすると、「もともと私は、この子に医師になれとは言っていません」とおっしゃられる保護者さまもおられます。しかし、直接的な言葉では伝えていないだけで、「医師になってほしい」という気持ちが本人に強く伝わっていることもあります。その言外のプレッシャーも、受験生本人に大きな影響を与えている場合があります。
子どもの将来のために幼少期からしっかりと学習環境を整えてこられたご家庭もあるかもしれませんが、保護者さまだけが先走ってすべてを整え、誘導しすぎると、本気の覚悟ができていない受験生にとっては、それが本気で取り組まない恰好の言い訳になっていることもよくあります。幼い子どもであれば、保護者さまがすべてを整え誘導する方法でうまくいくこともありますが、大学受験を迎える年齢ともなると、どうしても本人の意思が重要になってきます。
本人に「やらされている感」があると、合格は困難
そのため、私たち京都医塾では、入塾前に必ず本人に医学部を目指す「本気の覚悟」があるかを確かめます。それはどの生徒に対してもです。
先ほど例に挙げたように、受験生本人が医学部受験に前向きになりきれていない状態であることを保護者さまが悩まれている場合、京都医塾に頼めばなんとかうまく説得してもらえるのではないかという希望を抱いていらっしゃることもあります。
大変申し訳ありませんが、私たちは「是非医学部に行きなさい」と説得することはしません。逆に、「受験生本人が、必ずしも医学部じゃなくて良いと思っているくらいの気持ちなら、いくら京都医塾であっても合格へ導くことは難しいですよ」と、はっきりお伝えします。
その場合、本人には、このように話します。
「本当は医学部に行きたいわけではなく、仕方なく医学部を受けることになっているというのであれば、今この場ではっきりと医学部受験は嫌だと言えば良い。なぜなら、その心持ちのままであれば、医学部に合格することは難しいからだ。保護者さまが、それでもどうしても医学部に行きなさいとおっしゃるのであれば、私たちが一緒に話をしてあげよう。だから、その前に、最後にもう一度しっかり考えてみてほしい。自分自身は、本当に医学部に行きたいのか、それとも行きたくないのか、しっかり自問して、はっきり伝えてほしい」
この時、「自分は絶対に医者にはなれない」のだとイメージしてもらい、どう感じるのかを聞いています。そこで、ショックを感じるのか、ほっと安心するのか。それが本心です。「医学部志望は必ずしも絶対ではない」と言っていた受験生の口から、突然「それは困る」という言葉が出てくることがあります。
それまでは、なんとなく自分に自信がなかったり、勉強以外のことに夢中になって気が散っていたり、保護者さまの思いの強さと比べて覚悟が決まらず必死になれなかったりと、様々な思いがあるようですが、心の底では本気で医者になりたいと思っている子であれば、このように尋ねると、必ず「医学部に行きたい」と返事をします。
そして、その言葉が本当なのかどうかを確かめるために、「明日、また同じことを聞くから」と伝えて帰らせます。
次の日にも「医学部にどうしても行きたい。医学部を本気で目指します」という返事をもらったら、次はこのように伝えます。「本当に医学部に行きたいのであれば、家に帰ってから、自分の言葉で保護者さまにしっかりと『医学部に行きたいです』とお願いしなければダメ。京都医塾に入塾するのであれば、この1年、本当に勉強に専念する覚悟があるのかも自分に問うて考えてきてほしい」
自分から保護者さまに頭を下げて、「医学部受験をさせてほしい」とお願いできるほどの気持ちがあるのであれば、本気です。そこで「京都医塾で一緒に頑張ろう」となります。
本人に「やらされている感」が残っていると、いくら私たちが全力を尽くしても医学部合格は難しいため、これだけの時間をかけてしっかりと考えてもらっています。本人に「本気の覚悟」があるのか。私たちはそのことを非常に重視しています。
医学部に行ったからといって、それだけで薔薇色の人生になるわけではありません。医学部に合格した後には、医学部生としての膨大な勉強、実習が待ち受けており、CBT*があり、卒業試験があり、国家試験があり、無事卒業後もすぐに2年間の初期臨床研修があります。それが終わってようやく一人前。責任は重く、常に命と向き合い続ける仕事です。そんな厳しい世界に飛び込もうというのに、その入口に立つ前から覚悟が固まっていない状態では、頑張り続けられるわけがないのです。入塾の際に本人に覚悟を問うことは、その後のあらゆる困難に立ち向かい乗り越えていくためにも必要なことだと確信しています。
(*CBT…Computer Based Testing/医学部4年生までに修得するべき範囲から、基本的・普遍的医学知識を身につけているかを評価する試験。試験はパソコンで実施され、無作為に抽出された問題が出題されます。)
一見、本人にやる気がなかなか見られないケースでも、本当は心の中で医師になりたいと思っていることもあります。今の自分の成績では、到底目標に届かないことがわかっていて、「絶対医師になる」と表明したら「あなたには無理だよ」と言われたり、笑われるのでなないかと考え、口に出せないでいる場合です。
もしそうならば、やるべきことはただ一つ。しっかりと学力を、そして学力に裏打ちされた自信をつけてあげるだけです。
「親子の適切な距離感」も医学部受験の要
受験期の親子関係は、時に、非常にセンシティブな問題となり得ます。特に難関である医学部受験の場合においては、なお一層、親子ともに強いストレスがかかることでしょう。
前項で触れたように、保護者さまだけが熱くなってしまって、本人とのギャップがあるケースもありますし、本人は一生懸命頑張っているのに、保護者さまが評価し、認めてあげられないケースもあります。
京都医塾では、様々なご家庭の状況に応じて、客観的なアドバイスをいたします。例えば、保護者さまが熱心になりすぎて口を出しすぎるあまり、本人が力を出しきれていない状況なのであれば、少し距離をとってみることが有効です。そういう意味で、京都医塾で1年間寮に入って学ぶ、つまり京都留学をすることは、親子の適切な距離を生んでいると言えるかもしれません。
保護者さまとしても、お子さまの成績が芳しくなければ、もどかしく感じてしまうのは当然です。ただ、保護者さまの接し方はお子さまに強く影響します。不安や苛立ちを、そのまま言葉や表情、声のトーンなどに出してしまうと、本人に大きなプレッシャーがかかったり、モチベーションを下げることになってしまいます。
京都医塾においても、保護者さまが不安や苛立ちを感じておられる場合は、テストの点数だけで本人の頑張りを評価しないでほしいと、私たちから保護者さまにお願いします。京都医塾での日々の取り組み、小テストや授業への姿勢などを総合的に見たうえで正しく分析を行い、本人がどのように変われているか、頑張っているかをお伝えすることにより、保護者さまも冷静に見守っていただけることも多くあります。
本人の性格を一番よく知っているはずなのに、この受験期にどのような声かけ、接し方をして良いのかわからない、わかっていてもそれができないという保護者さまもたくさんいらっしゃいます。近しい関係であるがゆえに、自分たちのことを冷静に客観的に分析できず、どうしても感情的になってしまうことがあるようです。
受験生本人からすると、せっかく頑張っていても、親の求める基準でなければ褒めてもらえないということが続くと、前向きに勉強に取り組めなくなっていきます。医学部受験は、結局のところ本人がやるかやらないかに尽きますが、適切な距離感を保って、保護者さまが必要なところできちんと頑張りを認めてあげたり、褒めてあげたりするほうが、本人もモチベーション高く勉強を継続し、しっかりと力をつけていっているように感じます。
医学部専門予備校 京都医塾
「教育は、一人のために生まれる。」を企業理念に、圧倒的合格率で「偏差値40からの医学部受験合格」へ導く医学部専門予備校。京大出身の社員講師を中心に全国に校舎を増やさず、京都にしかない独自の教育サービスを展開。
医学部の受験競争が激化し、合格には偏差値65以上が必要と言われるなか、入塾選抜テストを行わず、偏差値40台から受験勉強をスタートした生徒を毎年合格させている。