実は多い、全国模試の結果を「読み間違えている」人々
医学部に合格する目安の1つは、偏差値65。これは以前の記事でもお伝えしたことです。
もちろん、偏差値が65あれば必ず合格できるというわけではありませんが、合格するために必要な学力の1つの指標とするべき数字です。
自分の偏差値を知る方法の1つとしてよく知られているのが、全国模試です。大手の予備校などが実施する全国模試は、多いものでは受験者が30万人を超えます。この中で、自分がどのくらいのレベルにいるのか、その時点でのおよその位置を知ることができます。
しかし、実はこの全国模試の結果に基づいて医学部の合格可能性を評価する際に、結果の読み方を誤解している方が多くおられます。
一般的に、全国模試というのは大手の塾を中心として年に数回開催されます。時期としては、春夏秋、それから受験直前という具合です。全国模試の受験後は、成績表の返却とともに自分の偏差値が出てくるのですが、ほとんどの人がこの偏差値を基に自分が合格する可能性を知ろうとします。
しかし実際のところ、全国模試の難易度、出題範囲は実施される時期によって異なります。そのため、誤った見方で結果を評価してしまうと自分の正確なレベルと合格の可能性が把握できなくなってしまうのです。
模試で出た偏差値・合格判定を鵜呑みにしてはいけない
模試の結果を正確に評価するためには、その模試の出題範囲とそれぞれの問題のレベルがどうなっているかという2つの視点に留意しながら分析する必要があります。
例えば新年度始まってすぐに行われる春の模試の出題範囲には、高校3年生で履修する多くの内容が含まれていません。春または夏の模試は、概ね現役の高校3年生のその時点の既習範囲から出題されます。ということは、春や夏の模試と実際の入試の出題範囲はまったく別物であるという捉え方をしなくてはなりません。問題レベルも同様です。各回の模試の問題の難易度は毎回異なりますから、模試の結果として出される数字だけを見て、医学部入試の問題に対応する力や合格の可能性、その推移を測ることはできないというわけです。
一般的に模試に関する話でよくありがちなのは、春や夏までの模試の結果では偏差値も良かったから安心しきっていたのに、秋の模試になったらグンと成績が下がってしまったというものです。「なぜ? どうしたら良いのかわからない」と困り果てて相談に来られる受験生もいらっしゃいます。受験生本人も保護者さまも、全国模試の各回の結果から評価できるものが何なのか理解されていないことが多いです。
「秋になって、それまで勉強していなかった人が急に勉強をするようになったから全体のレベルが上がった」という考え方もあります。受験生全体のレベルが上がったという見方が間違っているわけではありませんが、そもそも問題の出題範囲や各問題の難易度が毎回異なるため、同じ評価軸で比較すること自体ができないのです。
もちろん、医学部の入試問題とは異なるとはいえ、全国模試は全国の受験生の中での自分自身の相対的な位置を知る非常に有効な機会です。是非、受験し活用すべきです。そのうえで、模試の結果は正しい知識を持って分析する必要があるということです。
模試は「結果をその後の受験勉強に活かす」ことが大切
私たちは、このような全国模試の特性を把握し、生徒に説明したうえで、全国模試と塾内の実力テストを併用して生徒の学力の推移を評価していくようにしており、入試本番、そして合格に向けて勉強の計画を立てています。
春や夏の全国模試も当然受けていただき、結果を分析に使用しますが、その結果はそのまま入試に対する力を示すものではないのです。
合格するためには、攻略すべき相手(医学部受験)のことをよく知らなければなりません。ただ模試を受けて、その数字や合格可能性判定を鵜呑みにして一喜一憂するのではダメなのです。受ける模試の特性を正しく知り、その模試の結果から何がわかって何がわからないのかを理解したうえで、模試の結果を振り返り、その後の勉強に役立てる必要があります。
医学部専門予備校 京都医塾
「教育は、一人のために生まれる。」を企業理念に、圧倒的合格率で「偏差値40からの医学部受験合格」へ導く医学部専門予備校。京大出身の社員講師を中心に全国に校舎を増やさず、京都にしかない独自の教育サービスを展開。
医学部の受験競争が激化し、合格には偏差値65以上が必要と言われるなか、入塾選抜テストを行わず、偏差値40台から受験勉強をスタートした生徒を毎年合格させている。