(※写真はイメージです/PIXTA)

大山昌之氏の著書『財政再建したいなら移民を3000万人受け入れなさい』より一部を抜粋・再編集し、日本の「財政再建」へのアプローチの仕方を考えていきます。

「国民一人いくらと計算しても全く意味がない」ワケ

現在の日本の借金は、確かに莫大な額なのですが、それはあくまで日本のGDPに対して比較するものです。GDPとは、端的にいうと企業経営でいう売上を指す言葉で、日本国内の企業や個人事業主が年間どれだけの売上を上げているのかの一つの指標と捉える事ができます。

 

また、GDPを国の売上と捉えるならば、反対に税収は国の粗利益(売上総利益)と捉える事もできます。つまり国の借金約1200兆円の多さは、あくまでこの国の売上であり借金の返済原資でもあるGDP約550兆円に対して比較するべきもので、国民一人いくらと計算しても全く意味がないのです。

 

例えば、ある人が100万円の借金があったとすると、その借金が多いか少ないかは、その人の所得によって変わります。月10万円しか給料がない人からすれば確かに100万円の借金は多いのですが、年収1億円稼ぐ人からすれば、100万円の借金など、さほどたいした問題ではありません。

 

つまり、私がいいたい事は、国の借金の多さがGDPと比較して決まるモノであるならば、日本のGDPを仮に倍に増やす事ができれば、借金は半分に減った事になるのではないのかという事です(ここには、莫大な国債の残高に対して1円の返済もしてはいません)。

 

そうすれば、現在の日本の国家予算(国の年間の支出)がおよそ160兆6000億円(2021年度予算)に対して税収が63兆円(2021年度推定)、それがGDPが倍になる事で、税収も倍になったと仮定すれば127兆円になり、これで国の借金問題は解決した事になるのです。

 

そうすれば、変に増税して国民の負担を増やす必要もなくなります。一番大切な事は、いかに借金を減らすかではなく、きちんとその借金を政府がコントロールできているのかどうかが問題なのです。

 

それを細かく数値で計算してみると、コロナ禍が起こる以前の2019年のデータから、コロナ禍後の日本政府の国家予算と税収を推測すると、国家予算が年間約103兆円に対し、税収は66兆円程度と予想する事ができます。

 

それに対して年間の国債発行額は、約37兆円で、そのうち約13~15兆円が今までの債務の元本返済にあてられているので、今回の新型コロナウイルスのような問題がなければ、毎年約23兆円ほど国の借金は増えている計算になります。

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本記事は幻冬舎ゴールドライフオンラインの連載の書籍『財政再建したいなら移民を3000万人受け入れなさい』(幻冬舎MC)より一部を抜粋・再編集したものです。

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