日本の稼ぎ頭「製造業」の“8割”がDXに未着手の極めて「深刻な現状」

日本の稼ぎ頭「製造業」の“8割”がDXに未着手の極めて「深刻な現状」
(※写真はイメージです/PIXTA)

DXは、企業にとって、将来の多大な経済損失を防いで成長を図るうえで極めて重要です。それにもかかわらず、日本の稼ぎ頭である製造業では8割がDXに未着手という深刻な現状となっています。詳しくみていきましょう。

 

「製造業」でDXが進まない根本的な理由

ここでは製造業のDXを、製品・サービスを製造するプロセスから販売後まで、データとデジタル技術を用いて一元管理し、生産性・安全性を高めながらコストを抑え、品質向上を目指していく。日々変動する顧客や社会のニーズに合わせてビジネスモデルに変革をもたらすこと、と定義します。

 

製造現場においては、経験やノウハウが属人化しやすく、組織として知見を貯めていくことが難しいとされています。また、ほかの業種も同様ですが人手不足は深刻な課題です。先々の未来を見据え、事前に変化を予測し、事業成長を続けていくためには、製造業のDX推進は欠かせないものです。

 

国内における製造業のDXに向けた課題と対策について、経済産業省・厚生労働省・文部科学省が発表している「2021年版ものづくり白書」をもとにみていきます。

 

経済産業省・厚生労働省・文部科学省による「2021年版ものづくり白書」

製造業はコロナ禍の影響を大きく受けており、各企業とも売上高・営業利益は減少傾向、今後3年間の見通しも減少が見込まれ、依然として先行き不透明な状況が続くとあります。このため設備投資額は2019年まで増加傾向でしたが、2020年のコロナ禍の影響を受け、控える傾向にあり、この先も同様傾向が続きます。こうした状況もあり、進んでいないのがデータ活用です。

 

DXにおいてはあらゆる情報をデジタル化して収集・分析等に活用していくことが基礎となります。そのためまずはデータが集められる環境を構築しなければなりません。しかしながら国内の製造業の多くの企業が適切にデータを収集できていないのが現状です。環境構築にはコストがかかるため昨今の厳しい状況下、すぐに進められることではありませんが、具体的な検討に入る前段階からすでに、システム導入や環境整備に対し消極的であるケースも少なくありません。

 

さまざまな事情によってデータ活用が進んでいないなか、製造業がこれからDXを進めていくためには、まずその必要性を理解し、データを集められるようにすること、そしてそのデータをどのように活用すべきか考える姿勢を持たなくてはならないでしょう。

 

製造業でDXを進める際に取り組むべき最初のステップは、目的・ビジョン・実現したいイメージを社内全体で共有することです。そして、目的達成に必要な人材の確保・体制構築を行い、データの収集・分析し、市場のニーズを把握しながら、ものづくりを進めていきます。

 

品質の追求はもちろん重要ですが、「顧客が潜在的に必要としているものは、なんなのか、将来なにを求めていくのか」を理解することが重要です。時勢や今後を見据えた生産や業務プロセスの見直し、デジタルデバイスやシステムツールの導入も効率化や技術継承に有効なら是非活用してください。

 

新たな形を実現していくことが、まさにデジタルトランスフォーメーション(DX)です。新型コロナウィルスで業績悪化に苦しむ業態も多くありますが、このような正念場で企業がどう向かっていくかで明暗がわかれていくのではないでしょうか。

 

 

岩田 真豊

みずほリサーチ&テクノロジーズ株式会社

経営コンサルティング部

DX戦略チーム 次長

 

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