日本の稼ぎ頭「製造業」の“8割”がDXに未着手の極めて「深刻な現状」

日本の稼ぎ頭「製造業」の“8割”がDXに未着手の極めて「深刻な現状」
(※写真はイメージです/PIXTA)

DXは、企業にとって、将来の多大な経済損失を防いで成長を図るうえで極めて重要です。それにもかかわらず、日本の稼ぎ頭である製造業では8割がDXに未着手という深刻な現状となっています。詳しくみていきましょう。

 

日本企業におけるDX推進状況

DXが比較的進んでいる業種

2020年にコロナ禍となり、すでに3年が経過。新型コロナウィルス感染症の流行を背景にWeb会議やテレワークなどに取り組む企業が増加するなど、日本企業におけるデジタル化への意識の変化がうかがえ、働き方改革の推進と同様にDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進は加速したようにもみえます。

 

令和3年版(2021年)に総務省が発信した「情報通信白書」を見てみると、日本企業におけるDXの取り組み状況の確認で「実施していない、今後も予定なし」と回答した企業が約6割もあり、規模別にみると大企業では約4割、中小企業では約7割がこうした回答をしており意識の差は歴然としていました。

 

業種別でみると、情報通信業では取り組みが軒並み進んでいるほか、金融業、保険業が約5割に近い数値でDXの取り組みを実施している状況です。

 

DXが進んでいない業種

他方、取り組みが進んでいない業種としては、「医療・福祉」、「運輸業・郵便業」、「宿泊業・飲食サービス業」、「生活関連サービス業・娯楽業」などが挙げられています。これら業種でDXになにかしら取り組んでいる企業の割合は、下記のとおりです。

 

医療・福祉……9%

運輸業・郵便業……17%

宿泊業・飲食サービス業……16%

生活関連サービス業・娯楽業……18%

製造業……24%

 

ここに挙げられた業種はコロナ禍で問題となったエッセンシャルワーカーであり、労働集約型ビジネスであるため、人の労働が基本にあります。医療業界でいえば、カルテのデジタル化が進み、IT環境整備によるオンライン診療などメディテックと呼ばれる技術革新も模索されていますが、まだまだ浸透していないことも事実です。

 

取り組みが進んでいない業種は、デジタルに不慣れな高齢者が多いことや、日本人は人との直接コミュニケーションを望むマインドが根付いていることなどが要因として挙げられ、この影響がDXの推進を遅らせているといえます。

 

一方で、取り組みが進んでいるようにみえる「製造業」ですが、筆者のもとへもご相談やコンサルの依頼を多くいただきます。もちろん、これはDXを推進したい・させたい、意思や意欲の表れですが、裏を返せばまだまだ進んでいない企業が多い業種でもあるということです。前述した、最もDXの取り組みが進んでいない「医療・福祉」業界とは、最大差でも約15%程度で、2割強の企業しかDXに取り組んでいません。

 

日本の一大産業である製造業で、これほどまで進まない「製造業のDX」について、根本的な課題や推進するためのポイントをお伝えしていきます。

 

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