「正しい努力」を続けないと、間違った方向に進んでしまう
それだけではありません。体の可動域についても、正しい姿勢でストレッチを行なうことで、徐々に可動する範囲が広がっていく。ひいては肩甲骨や股関節といった、野球で最も使う箇所の可動域が広がることにつながり、柔らかい体を手に入れることができるというわけです。
私にしてみれば、まさに目からうろこでした。がむしゃらにウエイトトレーニングやストレッチをやっても、それでは選手たちにとって思うような効果が得られないどころか、最悪故障の原因へとつながってしまいます。
そうしたことを知らずに、指導者がただ「体の成長につながるから」というあいまいな理由でウエイトトレーニングやストレッチをやったところで、思うような効果は得られないのです。選手にしてみれば、百害あって一利もない結果となってしまいます。
私は「たとえ実績のある指導者であっても、知らない分野はある」という謙虚な姿勢を持つことは大切だと思っています。 野球の技術の知識だってそうです。内野手が打球を捕ってから投げるまでの一連の動作ひとつとっても、20年前と今では大きく違います。大学でプレーしているOBたちから、私が知らなかった野球の技術の話を聞くことも決して珍しいことではありません。
そこで得た知識を実際に選手に試させてみて、しっくりいっているようだったら取り入れてみる。新しい技術を身につけようとしてしまったがために、それまで持っていた長所を失ってしまうようだったら、「今のはやめておこうか」とストップをかける。こうした判断をすることも指導者には必要なことなのです。
みなさんも、もし知らないことがあったら、謙虚な姿勢で一から学んでみるといいと思います。「習うは一生」という言葉があります。
人には学ぶべきことが無限にあるから、いくつになっても学ぶ姿勢を持つことが大切です。それまで目にしたことも耳にしたこともない情報を入手したときには、どん欲に吸収する姿勢を持つことが大切になってくるのです。
■前田の法則
知らないことに直面したら、謙虚に学ぶ姿勢を持つ
前田 三夫
帝京高等学校硬式野球部
名誉監督