(※画像はイメージです/PIXTA)

岸田首相は2023年1月23日、施政方針演説のなかで、「次元の異なる少子化対策」を実施する方針を表明しました。すでにこの1月から「出産・子育て応援給付金」の給付、4月から出産育児一時金の増額が決まっており、それに加えてどのような「少子化対策」が講じられるのか、注目されます。本記事では現時点での政府による子育て支援策の概要と、今後の課題について解説します。

◆子育てと仕事の両立を制度的に側面支援するもの

「産前産後休業」は、産前6週間以内、産後8週間以内に取得できる休業です。

 

「産後パパ育休」は、父親が子の出生後8週間以内に取得できる休業です。夫が出産直後の妻と子を支え、夫婦で協力して子育てに取り組めるようにするためのものです。なお、出生後8週間経過したら、別に育児休業を取得することが認められます。

 

「育児休業」は、雇用保険に基づく制度であり、子を養育する労働者が法律に基づいて取得できる休業です。原則として子が1歳になるまでの間に取得できます。なお、勤務先に育児休の制度があるか否かにかかわらず、法律上当然に取得できるものです。

 

「両立支援等助成金」は、中小企業事業主が従業員に対し、仕事と出産・育児、介護などとの両立できるように一定のサポートを行った場合に、国から受け取れる助成金です。

 

ただし、むしろ、労働者の育児と仕事の両立に対し非協力的な雇用主に対するペナルティを強化する方が先ではないかという指摘もあります。

わが国の「少子化対策」は「初期」のみに偏重

このところ、政府・与党は、「少子化対策」に取り組む「意気込み」を示しています。そして、実際に2023年1月から「出産・子育て応援給付金」の制度を施行し、2023年4月から「出産育児一時金」を50万円へと増額することを決めています。

 

また、2023年1月に入ってから、政府が「育児休業給付」の対象でない個人事業主・フリーランスや非正規雇用の労働者に対する現金給付の制度を検討していることも明らかになっています。

 

しかし、これらの施策は、「妊娠・出産」「初期の子育て」のみに偏重しているといわざるを得ません。

 

上述したように、「子育て支援」を標榜している「児童手当」については中学生までに限られているうえ、所得制限もあります。しかも、教育費が最も必要になる高校生以降については、住民税非課税世帯等を除いて支援が手薄といわざるを得ません。

 

なお、東京都の小池百合子知事は、東京都として18歳以下の都民に1人あたり5,000円の給付の制度を、所得制限なしで設ける意向を表明しています。これは、児童手当の制度のあり方に一石を投じるものといえます。

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