(※画像はイメージです/PIXTA)

岸田首相は2023年1月23日、施政方針演説のなかで、「次元の異なる少子化対策」を実施する方針を表明しました。すでにこの1月から「出産・子育て応援給付金」の給付、4月から出産育児一時金の増額が決まっており、それに加えてどのような「少子化対策」が講じられるのか、注目されます。本記事では現時点での政府による子育て支援策の概要と、今後の課題について解説します。

公的な「少子化対策」「子育て支援」の概要

現状における公的な「少子化対策」「子育て支援」の政策のうち、主要なものは以下の通りです。

 

【給付により支援するもの】

・出産育児一時金

・出産手当金

・出産・子育て応援給付金

・育児休業給付金

・児童手当

 

【税金の控除によるもの】

・扶養控除

・ひとり親控除

 

【子育てと仕事の両立を制度的に側面支援するもの】

・産前産後休業

・産後パパ育休

・育児休業

・両立支援等助成金(対事業主)

 

それぞれについて簡単に説明を加えます。

 

◆給付によるもの

「出産育児一時金」は、国民が全員加入する「健康保険」に共通する制度です。女性が出産した場合に、子ども1人につき原則として42万円(2023年4月以降は50万円)を受け取れる制度です。

 

「出産手当金」は、サラリーマン・公務員が加入する「雇用保険」における制度です。産前・産後の休業を取得したときに給与の3分の2の額を受け取れるものです。

 

「出産・子育て応援給付金」は、「妊娠届出時」と「出生届出時」にそれぞれ5万円相当、5万円相当の経済的支援を支給するというものです。出産および初期の子育てに対する支援を行うものといえ、2023年1月1日から施行されています。

 

「育児休業給付金」は、「出産手当金」と同様、サラリーマン・公務員が加入する「雇用保険」に基づく制度です。後述する「育児休業」を取得すると給与の3分の2の額を受け取れます。

 

「児童手当」は、中学校3年生以下の児童を養育している人に子ども1人あたり1ヵ月10,000円~15,000円を支給するというものです。児童手当は「世帯主」の所得を基準とする「所得制限」がおかれています。なお、子育て支援という目的からすると「そもそも所得制限を設けるのは不合理である」「世帯ではなく世帯主の所得で判断するのは不合理である」といった批判が根強くあります。

 

このように、給付の制度は、出産と初期の子育てに対するものがメインとなっています。

 

◆税金の控除によるもの

次に、税金の控除によるものです。

 

「扶養控除」は、16歳以上の扶養者がいてその合計所得金額が一定以下の場合に、一定額の所得控除を受けられる制度です。16歳以上の子を扶養している場合は対象となります。

 

「ひとり親控除」は、婚姻歴の有無にかかわらず、「シングルマザー」「シングルファザー」であれば35万円の所得控除を受けられる制度です。

 

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