「自営業の私、iDeCoとNISAのどっちを選ぶべき?」
生徒:K先生、新しいNISA制度は、無期限で非課税なんですね!
K先生:岸田首相によって、2024年から新しいNISA(少額投資非課税制度)がスタートすることになったね。これは、岸田首相が就任のときに掲げた「新しい資本主義」を実現させる手段である「資産所得倍増計画」の1つの項目なんだよ。
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iDeCoとの違い・定期預金からNISAへの移し方・つみたて投資枠と成長投資枠の使い分けも合わせて解説
生徒:実は、私はiDeCo、つまり個人型確定拠出年金もやっているんです。会社員なので月額23,000円だけなんですけれど、掛金は所得控除になるから、NISAよりも有利なような気がします。iDeCoとNISAではどちらがよいのでしょうか?
K先生:たしかに、iDeCoと岸田NISAの使い分けは難しいよね。これらの違いの1つは、「所得控除」の有無が大きいから、稼いでいる所得が大きい人なら、真っ先にiDeCoを使ったほうが有利だね。NISAはその次でいいよ。
生徒:私はフリーランスで働いているので、そんなに大きな所得は稼いでいないです。
K先生:それなら、60歳まで資金の引き出しができないiDeCoよりも、解約自由なNISAを利用するほうがいいね!
定期預金にある500万円、NISAへ移すべき?
生徒:いま定期預金に500万円だけ貯蓄しています。定期預金は、つみたてNISAと一緒に持っておくべきでしょうか?
K先生:定期預金で持っておく必要はないよ。定期預金は解約して、そのお金をNISA口座に移すことが正解だね。NISA口座では、年間360万円投資できるから、定期預金や証券会社の特定口座の金融資産を払い戻して、それをNISA口座に入金すればいい。定期預金500万円を解約したら、1年目に360万円、2年目に140万円の投資ができるね。
生徒:わかりました。定期預金は解約するようにします。ただ、自分が稼いだお金で投資しようとしますと、いま景気が悪くて支払額が下げられたため、がんばっても月に1万円くらいしか投資することができないと思います…。
K先生:そうだよね。実際、投資にお金を回す余裕がある人というのは、住宅ローンの返済が終わった50代、退職金をもらった60代だと思うよ。20代は生活費を稼ぐことで必死だろうし、30代・40代は、住宅ローンの返済と子どもの教育費で家計はギリギリの状況だろうね。それでも「まとまった老後資金を作るために投資する」と考えて、毎月1万円だけでもいいから、つみたてNISAの利用を開始したほうがいいよ。決まった金額を銀行からNISA口座へ自動振替する設定ができるから、設定したあとは放置しておけばいいんだよ。
生徒:それでも、1万円すら払えなくなったときはどうすればいいですか?
K先生:生活が苦しくなったら、部分的に売却して引き出せばいいよ。いつでも換金できるから、心配しなくていいよ。
つみたて投資枠と成長投資枠、使い分けはどうする?
生徒:NISA口座って、気軽に使えるお財布みたいなイメージですね。投資信託はなにを買えばいいのでしょう。つみたて投資枠と成長投資枠がありますが、どのように使い分ければいいですか?
K先生:いい質問だね! 使い分け方を教えてあげよう。その答えは、「どちらの枠でも同じものを買え」ということなんだ。つみたて投資枠に最適な投資信託、成長投資枠に最適な投資信託なんてないんだ。最適な投資信託を選んで、どちらも同じものを買えばいい。ただ、成長投資枠だと個別株を買うことができるから、個別株を買うかどうかだね。ハイリスク・ハイリターンで投機を狙いたいのであれば、個別株を買ってもかまわないけれど、長期の資産形成を優先するのであれば、個別株など買う必要はないね。
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投資信託の選択基準は、きわめてシンプル
生徒:なるほど、個別株のことはよくわからないので、投資信託にします。どれが最適なのでしょうか?
K先生:最も広く分散投資されていて、手数料が安いものだね。具体的には、全世界株式に投資するインデックス・ファンドで、手数料がいちばん安いもの、それ1本だけでいいよ。2本、3本と買わなくてもいい。
生徒:証券会社のホームページを見ていると、「株式ファンドと債券ファンド、米国株式や新興国株式に分散させましょう」と書いてありますが、全世界株式インデックス・ファンド1本だけで、本当に大丈夫なのでしょうか?
K先生:断言しよう。複数のファンドをどんなに上手に組み合わせても、全世界株式とほとんど変わらないから、無駄なことはしなくていいよ。そもそも日本の証券会社にそんな素晴らしい組み合わせをアドバイスできる能力はないから。また、債券型ファンドは、購入する必要がない。高齢者の方がローリスク・ローリターンで運用したいという場合には、わけもわからないまま債券型ファンドを買うのではなく、10年変動の個人向け国債を買うか、定期預金で貯蓄しておいたほうがいい。
生徒:わかりました! 「全世界株式インデックス・ファンド」1本でいいということですね。最高のものを1本だけ、とても明快ですね!
岸田 康雄
国際公認投資アナリスト/一級ファイナンシャル・プランニング技能士/公認会計士/税理士/中小企業診断士
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