木造は家賃を低く設定でき、入居者となり得る層も厚い
一方で木造は建築費が安いので、金融機関に借りるお金も少なくて済みます。つまり毎月のローン返済額が少ないから、その分家賃も一番安価に設定できる。
家賃を安価にできるということは、入居者となるターゲット層は一番厚いということになります。要するにもっとも楽に商売ができるといえます。
また、もともと家賃が安価なので、RC造のように大幅な値引きをしなくても空室が埋まりやすいというメリットもあります。
RC造なら8万円の家賃を6万4000円の20%引きにすることはあり得ます。しかし、もともと6万5000円の木造は5万8000円にするだけでも十分集客効果があります。20%引きの5万2000円にするケースはほとんどありません。
木造アパートの経営は、景気変動のリスクをより低く抑えることができるのです。
投資資金を回収するまでの期間は出来る限り短く設定
アパート経営のリスクといえば、投資したお金をどれくらいの期間で回収できるか気になるところです。建物に関しては地震保険や地盤保証など、様々なリスクヘッジがありますが、20年後、30年後のことは誰も分かりません。
子どもが2人とも医学部に進学する、または急に大病を患って、「ローンを差し引いた家賃収入だけでは足りない」といったこともあり得るのです。投資したお金の回収は早ければ早いに越したことはないはずです。
そこで木造とRC造の投資金額の回収期間を比較してみましょう。分かりやすくするために、土地代は価値が変化しない資産と見なし、考慮しないことにします。また、単純に期間の差を比較するためローンは利用しないことを前提とします。
●木造の場合
建築費…5000万円(9戸)
家賃…6万8000円×9戸=61万2000円(1か月の収入)
回収期間…5000万円÷61万2000円=82か月(6年10か月)
●RC造の場合
建築費…9000万円(9戸)
家賃…7万5000円×9戸=67万5000円(1か月の収入)
回収期間…9000万円÷67万50000円=133か月(11年1か月)
木造の建築費回収期間は6年10か月。RC造の建築費回収期間は11年1か月。およそ4年木造の方が早く回収できます。さらに現実的にはローンを利用しているので、金利分さらに期間の差は開きがあるでしょう。この4年間+αになにが起こるか分かりません。借入金は少ないに越したことはないのです。
アパート経営の旨味は、投資した費用を回収した後です。その後の収入は丸々の利益になります。また、早く投資費用を回収できれば、それだけ建物は新しい状態なので、売却も容易になります。
このようにRC造は木造より家賃を高く設定できるものの、建築費の増額分までは回収できないケースがほとんどです。
木造のメリットはまだあります。解体費用が比較的安価なので、数十年後に建て替える場合でもコストを低く抑えることが可能なのです。
解体費用の相場は、木造で坪4万円前後。RC造で8万円前後。60坪の物件なら240万円の差です。この金額は決して無視できないでしょう。
以上のことから、自己資金の少ないサラリーマンがアパート経営を始めるなら、選ぶ構造は木造が最善といえるでしょう。