(※画像はイメージです/PIXTA)

米ドル/円は2022年10月下旬の1ドル151円をピークに、レンジを切り下げながら米ドル安・円高地合いとなっています。足元、節目の1ドル130円を下抜けるなど新たな米ドル安値圏に突入したことで、目先はさらなる米ドル下落リスクを試す可能性があると、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏はいいます。このまま米ドル安・円高が続くのか、さまざまなデータを紐解きながら、吉田氏が分析・考察します。

ユーロ高・米ドル安に注目

先週にかけての米ドル安値更新は、対円に限ったことではなく、対ユーロなどでも同様でした。ただ、対円での米ドル安は、日米の2年債利回り差と比較すると「行き過ぎ」懸念が強いのに対し、対ユーロでの米ドル安は独米2年債利回り差と比較してもある程度正当化されるといった違いがあります(図表4、5参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表4]米ドル/円と日米2年債利回り差(2022年3月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表5]ユーロ/米ドルと独米2年債利回り差(2022年10月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

こういったことから私は、米ドル安の主導役は対ユーロ、つまりユーロ高・米ドル安であり、その意味ではユーロ高・米ドル安の一巡が、米ドル/円も含めた米ドル安全体が一息付く目安になるのではないかと考えてきました。

 

そんなユーロ/米ドルも、ユーロ高・米ドル安が進むなかで、徐々に短期的なユーロ「上がり過ぎ」、米ドル「下がり過ぎ」の懸念が拡大してきました。

 

90日MAかい離率を参考にすると、ユーロ/米ドルは同かい離率が5%以上に拡大すると短期的なユーロ高・円安の「行き過ぎ」懸念が強まりますが、先週にかけて同かい離率はまさに5%を大きく上回ってきたのです(図表6参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表6]ユーロ/米ドルの90日MAかい離率(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

対ユーロでの米ドル安が行き詰まると、対円での米ドル安は、上述のように金利差から見ると「行き過ぎ」懸念も強いだけに、その反動が入る可能性もでてくるのではないでしょうか。

 

以上を踏まえ、今週の米ドル/円は米ドル安が行き詰まり、反転に向かうといったイメージから、125~130円中心のレンジで想定したいと思います。

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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