写真提供:オオカワ建築設計室 写真:吉田みちほ

知られざる「日本の住宅とその性能」について焦点をあてる本連載。今回は、劣化対策、特にシロアリ対策(防蟻)についてみていきます。

5年程度しか防蟻効果のない処理が行われている理由

この防蟻剤は農薬系なので、永続性がありません。概ね5年程度しか防蟻効果は持続しません。不思議なことに聞こえると思いますが、実はそれが、このような薬剤による防蟻処理が主流を占めている理由のようです。

 

というのは、防蟻処理を行う業者は、新築時にかなり安くこの薬剤を用いて防蟻処理を行っています。当然、工務店・ハウスメーカーは新築時のコストが下げられます。

 

工務店等は、シロアリ被害に対して、通常5年保証を付けるのですが、防除業者は、その後の5年ごとの再施工で利益を上げているという事業構造なのです。

合成殺虫剤系の防蟻剤は、施主にはデメリットばかり

このような合成殺虫剤系の防蟻処理は、施主にとっては、新築時のコストが多少安いという点以外はデメリットしかありません。具体的には、

 

① 基本的には5年ごとに再施工の費用が掛かり続ける

② 新築時の薬剤塗布により上記の健康リスクがある

③ 居住している状態で5年ごとに合成殺虫剤で再施工ため、それによる健康リスクもある

④ 地盤面から1m部分の再施工は困難

 

このうち、特に筆者が最も大きな問題だと考えているのは、実質的には5年ごとに、地盤面から1m部分の再施工を行うことはできないということです。

 

【図表2】の写真を再度見てほしいのですが、地盤面から1mの構造耐力上主要な部分というのは、その大部分は、竣工してしまうと内側も外側も壁があり柱の間には断熱材が入っていますから、再施工は事実上不可能です。5年しか防蟻効果が続かない防蟻方法が一般的ということが何を意味しているかは、少しお考えいただければどういうことかお分かりいただけると思います。

 

50~100年と資産価値を維持して安心して住み続けることができる家にするためには、永続性のある防蟻方法の採用が重要であることは自明です。

 

ただ、日本に多く生息しているヤマトシロアリ、イエシロアリは、地下シロアリと言って、地中に巣を作り、床下に蟻道(図表4)という通り道を作って、家の中に侵入してきます。そのため、床下を点検して蟻道がないことが確認できれば、シロアリの被害は起きていないと判断することはある程度可能です。

 

【図表4】
【図表4】

 

ところが、次回の記事で詳しくご説明する予定ですが、その状況が大きく変わってきており、蟻道の有無の確認ではシロアリ被害有無の判断はできなくなってきています。

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