(画像はイメージです/PIXTA)

香港在住・国際金融ストラテジストの長谷川建一氏(Wells Global Asset Management Limited, CEO)が「香港・中国市場の今」を解説していきます。

ハンセン指数 21,738.66 pt (+1.04%)
中国本土株指数 7,391.18 pt (+1.09%)
レッドチップ指数 3,963.50 pt (+0.50%)
売買代金1,330億1百万HK$(前日1,595億8百万HK$)

米国12月の消費者物価指数が発表

市場が注目していた米国の消費者物価指数(CPI)が発表され、12月は前年比6.5%増と市場予想のレンジに収まった。前月比では0.1%減と低下した。これで前年比ベースでは昨年6月から6ヵ月連続での伸び率が低下し、物価上昇ペースの鈍化傾向が示されたと市場は解釈した。

 

このため、昨年、急ピッチで利上げを続けてきた米連邦準備制度理事会(FRB)が次回2月1日の会合では、0.25%幅の利上げにとどめるとの見方が強まった。

 

CPI上昇の要因としては、エネルギーが前月比6.1%と下落したほか、燃料費が同16.6%の大幅下落となったことが、全体の指数を大きく押し下げており、価格変動が大きい食料とエネルギーを除くコア指数では前月比0.3%増、前年比で5.7%増とFRBが目標とする2%からは大きく上回っている。

 

短期金融市場では、次回2月と3月のFOMCで、それぞれ0.25%幅の利上げが実施された後、物価上昇率の低下を確認して、FRBは利上げを打ち止める青写真を描いている。政策金利は4.75%-5.0%でピークに達し、5.0%を超えずに年内の利下げに向かうことが予想されている。

 

だが、コアCPI指数が依然、高い水準にあることから、果たして上記のシナリオが妥当かどうか疑問である。インフレ率は伸びが鈍化したとはいえ、高水準で推移しており、低下へ向かう強い材料はない。

香港ハンセン指数は3日続伸

13日の香港市場は朝方、弱く寄り付いた後、方向感に乏しい展開だった。昨年12月の中国貿易統計は、世界的な需要減退から輸出が急減し、輸出・輸入ともにドル建てで大きくマイナスとなったことが、市場へネガティブにはたらいた。

 

特に輸出に関しては海外の消費者が景気悪化を受けて支出を減らしたほか、米国による半導体関連装置の輸出管理強化も懸念された。中国の輸出は今後、海外需要のさらなる後退予想から低迷が続く可能性が高い。一方、輸入に関しては前月比でのマイナス幅は縮小した。

 

しかし、午後には米国株の先物が上昇したことを受けてハンセン指数も反発し、中国政府が厳格なコロナ対策を一気に転換したことによる景気回復期待も手伝って、前日比1.04%高と3日続伸で取引を終えた。

 

ハイテク株で構成されるハンセンテック指数は同1.51%高と3日ぶりに反発。高性能データセンター開発の万国数拠(9698)は8.0%高、オンライン読書サービスの閲文集団(0772)は5.6%高、クラウドサービスの金蝶国際集団(0268)は5.2%高だった。

 

主要銘柄も堅調となり、バイオ医薬品開発の薬明生物技術(2269)は6.4%高、オンラインゲームのネットイース(9999)は4.7%高、保険大手の中国平安保険(2318)は3.6%高、HSBC(0005)は2.6%高だった。

 

再来週には春節休暇を控え、リオープン銘柄も買われた。中国南方航空(1055)は5.3%高、中国国際航空(0753)は4.8%高、キャセイパシフィック(0293)は1.5%高、その他カジノやレストランといったセクターも選好された。

 

本土株市場は景気回復の期待が先行し金融銘柄が相場上昇を牽引した。上海総合指数は前日比1.01%高の3,195.31、CSI300は同1.41%高の4,074.38へと反発した。外国為替市場では、人民元が1ドル=6.72人民元へと上昇した。

 

長谷川 建一

Wells Global Asset Management Limited, CEO/国際金融ストラテジスト<在香港>

 

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