(※写真はイメージです/PIXTA)

「業務スーパー」は、どこも真似できない商品のラインナップと驚くほどの低価格で注目を浴びており、物価高が深刻化するなか、小売業界における存在感をますます大きくしてきています。いったいどのような経営が行われているのでしょうか? 本連載では小売り・流通関係に精通しているジャーナリストの加藤鉱氏が、著書『非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ』から、業務スーパーの型破りな経営戦略について解説します。

さまざまな業態に合いやすい業務スーパーのパッケージ

業務スーパーを展開する950店舗超の加盟店のオーナーは全部で100社ほどになる。

 

もっとも多くの店舗を擁しているのがG-7ホールディングスという東証一部上場企業の子会社で、約170店舗を運営している。次いで多いのはオーシャンシステムで約100店舗。ここも上場企業だ。

 

それ以外だとマキヤ・グループが60店舗以上を持っているし、30店舗、40店舗を持っているオーナーが多い。もちろん、1店舗、2店舗のオーナーもいて、けっこうバラツキがある。

 

その一方で、業務スーパーがさまざまな業態に合いやすいパッケージであることも確かである。

 

先に登場した2オーナーは酒売場や生鮮三品売場の併設だったけれど、なかには100円ショップが入居し、レジも併用といったところもある。

 

日本でフランチャイズというと、どうしてもコンビニ業界のイメージが強い。それでも2020年末に業界4位のミニストップは、フランチャイズチェーン(FC)加盟店オーナーの負担を大幅に減らす新契約モデルを2021年9月から導入すると発表した。

 

その最大の特徴は、加盟店が利益の有無にかかわらず、経営指導などの対価としてFC本部に支払っている「ロイヤリティを廃止」することにある。以下はその概略である。

 

●従来のFC制度(セブン-イレブン・モデル)

売上高から仕入れ原価を引いた加盟店の粗利益の一定割合を、ロイヤリティとして本部が徴収する。売れ残りの廃棄ロスや人件費などは加盟店の全額負担とする。24時間営業が原則。日販が増えるほど加盟店の純利益が増えるシステムではないという理不尽さが問題となっていた。

 

●新ミニ・ストップ・モデル

廃棄ロスや人件費など店舗運営に関わる一連のコストは、本部と加盟店が"共同"で負担、その上で残った利益を"折半"する。売れ残りを極力減らす発注など、収益を効率的に上げる店舗づくりに本部も積極的に関わる。従来のロイヤリティを廃止。営業時間は加盟店が決める。日販が増えるほど加盟店の純利益が増えるシステムに変更。

 

ただし見直しを表明したのは上位4社のうちミニストップのみで、他の3社についてはこれからの話でしかない。

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非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

非常識経営 業務スーパー大躍進のヒミツ

加藤 鉱

ビジネス社

ロイヤリティがなんと破格の1%!? なぜこの値段? なぜ牛乳パックに羊羹? なぜ急拡大? 毎日が型破りな業務スーパーが大人気な理由 売上高3,408億円、営業利益236億円、8期連続の増収増益、(2020年10月期決算)! あ…

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