ロイヤリティは仕入れ額のわずか1%
その点で業務スーパーの場合、オーナーとフランチャイズ本部とが揉(も)めるようなことは基本的には少ない。営業時間に関しては地域ごとの特性に合わせており、基本的には申請許可制で、店舗ごとに決めている。
業務スーパーのFCに加盟しようかどうか迷っていた人が「あなたはさまざまなフランチャイズの業態があるなかで、なぜ業務スーパーに決めたのですか?」とある加盟店オーナーに尋ねた。するとそのオーナーはこう返してきた。「一つには商品力です。神戸物産からしか仕入れられない商品があるからです。もう一つは、自由度が高いからです」
そうした質問を受けていたオーナーは酒類販売店(それにしても私が取材したオーナーには酒類販売に携わる人が多かった)を経営している人だった。「いままで扱っていた酒類を業務スーパーの横で一緒に売ることができる。自分たちの強みを活かしつつ、そこに業務スーパーの魅力を加えて、店として運営していける。その自由度の高さが気に入ったのです」
前出の花房課長が言った。
「当然ながら業務スーパーのフランチャイジーになるからには、神戸物産と加盟店との約束事として、ある程度の商品を扱うことや、これはイチオシ商品なので力を入れてくださいとか、本部からの案内や指導はしています」
それぞれの加盟店の特徴を活かせる経営ができるのが、業務スーパーの人気の秘密ともいえる。フランチャイズのなかではきわめて珍しい存在だし、箸(はし)の上げ下げから指導するコンビニチェーンなどから見れば、非常識きわまるFC経営法かもしれない。だが、実際にはそこに魅力を感じている加盟店オーナーは多い。
さらに非常識なのは、FC本部の神戸物産に支払うロイヤリティが「仕入れ額の1%」と信じられないほど安いことである。ロイヤリティとはフランチャイズ契約の加盟店が、本部が提供する商標や経営ノウハウ、技術サポートなどに対して支払う使用料のことを意味する。
博和社長はロイヤリティの安さについて訊かれると、いつも平然としてこう返している。
「加盟店料で儲けようとは思っていない。うちはあくまで製造と卸で稼ぎますから」と。