(※画像はイメージです/PIXTA)

2023年12月23日に発表された政府の「2023年度税制改正大綱」において、一定の設備投資について税制優遇を与える「中小企業投資促進税制」が2025年3月末日まで延長されました。ただし、改正点があります。本記事では、「中小企業投資促進税制」の概要と改正点について解説します。

中小企業投資促進税制とは

中小企業投資促進税制は、中小企業・個人事業主等が、生産性向上のため、一定の機械装置等(特定機械装置等)を取得した場合に、「特別償却」あるいは「税額控除」を受けられるというものです。

 

機械だけでなく、無形固定資産であるソフトウェアを導入した場合も含まれます。

 

当初は2021年3月31日までの時限措置でしたが、2021年度税制改正で2年延長され、2023年度税制改正大綱においてさらに2年延長されることとなりました。

対象となる事業者の規模・業種

対象となる事業者は、青色申告書を提出する、一定以下の規模の中小の企業・個人事業主です。規模の要件は原則として下記の通りです。

 

・資本金額1億円以下の法人、農業協同組合、商店街振興組合等

・従業員数1,000人以下の個人事業主

 

また、対象となる業種は以下の通りです。ありとあらゆる業種が含まれます。ただし、映画業以外の娯楽業、性風俗関連特殊営業は対象となりません。

 

【対象となる業種】

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、採石業、砂利採取業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業にあっては、生活衛生同業組合の組合員が行うものに限る)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業、沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、情報通信業、損害保険代理業、不動産業、駐車場業、物品賃貸業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育、学習支援業、医療、福祉業、協同組合(他に分類されないもの)、サービス業(他に分類されないもの)

 

対象となる機械・設備等

対象となる機械・設備等は以下の通りです。前述のように、無形固定資産であるソフトウェアも含まれます。

 

1. 機械装置(1台160万円以上)

2. 工具、器具備品(1台120万円以上、複数なら1台30万円以上・合計120万円以上)

 イ. 測定工具及び検査工具

 ロ. 電子計算機

 ハ. デジタル複合機

 ニ. 試験機器・測定機器

3. ソフトウェア(一つのソフトウェア、または複数合計で70万円以上)

4. 貨物自動車(車両総重量3.5t以上)

5. 内航海運業の用に供される船舶(取得価格の75%)

 

なお、リース資産も、「ファイナンスリース取引」であれば対象となります。ただし、うち「所有権移転外リース取引」については、後述する税制優遇措置のうち「特別償却」は利用できず、税額控除のみとなります。

 

また、「機械装置」、「工具、器具備品」、「ソフトウェア」については別途、より有利な「中小企業経営強化税制(A類型)」を活用できる場合があります。詳しくは「即時償却とは?基本的なしくみ、活用メリットと注意点」をご覧ください。

受けられる税制優遇措置の内容

中小企業投資促進税制における税制優遇措置は、原則として以下の「特別償却」または「税額控除」のいずれかです。

 

・特別償却:対象設備の購入費用等の30%を経費に算入

・税額控除:対象設備の購入費用等の7%を法人税額から控除(法人税額の20%が上限)

 

ただし、資本金3,000万円超の中小企業については「特別償却」のみが認められています。

 

次ページ「特別償却」と「税額控除」どちらを選ぶべきか

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