組織に存在する常識感、空気感とは?
■根拠のない規律に縛られている弊害を乗り越える
▶企画部にて
部下「う~ん…」
上司「こら~!仕事場で腕組みするヤツがあるか! 仕事してないクセにエラそうに!」
部下「考えてただけじゃないですか……」
イノベーションを起こすにはときには思考を巡らせる必要もあります。考えるスタイルというのは人それぞれなのですが、仕事中はかくあるべき、という古い人にはそれが許せないのです。
「腕組みくらいで怒る人もいないでしょう?」
そうでしょうか?
程度が違うだけで、何か根拠のない規律のようなものを強いている時点で本質的には変わりません。
この自律的に規律を守ろうとする力ですが、とてもやっかいな問題なのです。
集団にはそれぞれ常識感、空気感があり、長い期間その集団に所属していると他の集団との違いに気づかなくなります。すると、規律を守らせようとする空気は無意識に醸造されていきます。
例えば……
上司「おい、そこ、仕事中に笑ってるんじゃない!」
上司「何でキミの机には消しゴムが2個乗ってるんだよ。消しゴムは1個だろ!」
上司「キミは付箋紙の使い方がちょっと粗いんじゃないか?」
上司「電話は0コールで取れよ!」
上司「就業時間中にお菓子なんか食べるな!」
こういうこと、無意識にやっているのです。根拠のない規律の押し付けは組織を硬直化させるだけではなく、新しいアイデアを阻害します。
新しいアイデアは常識の破壊でもありますので、表明した時点で怒られる危険性があります。
怒られるというイヤな体験を事前に避けるためにアイデアの表明をしなくなるのです。自己防衛だから仕方ありません。
そして、誰も新しいアイデアを出さなくなる、つまりイノベーションの生まれない組織になるのです。そうならないために、まず認めて、仲間であることを意識しましょう。
例えばこうです。
部下「う~ん……」
上司「何だよ、腕組みなんかして。私もいっしょに悩ませろよ。」
部下「聞いてくれますか! お願します。いっしょに考えてください。」