新車を購入しても「3分の1」しか経費にならない
「高級中古車」の購入がなぜ「節税」になるのか説明する前提として、まず、新車の購入代金がどのように費用計上されるのか理解する必要があります。
自動車の購入代金を費用計上するには、「減価償却」というしくみを利用します。減価償却とは、事業用固定資産の購入代金を、一定期間(法定耐用年数)にわたって必要経費(減価償却費)として落としていくことです。
減価償却の期間、すなわち「法定耐用年数」は、資産の種類に応じて異なり、法令により決まっています。法定耐用年数が短ければ、1年度あたりの減価償却費額は大きくなります。これが「節税」になるといわれているのです。
国税庁HP「主な減価償却資産の耐用年数表」によれば、一般的な乗用車の法定耐用年数は6年です。
したがって、購入初年度に全額経費計上できず、6年間かかります。そして、自動車の減価償却のメジャーな計算方法である「定率法」を利用すると、初年度に33.4%を経費計上できます。
たとえば、自動車の価格が600万円であれば、初年度の減価償却費は200万円ということになります。
なお、個人事業主の場合、私用と事業用を兼ねるのであれば、さらに「家事按分」といって、私用の部分を除外して費用計上する必要があります。
「4年落ちの中古車」なら1年で経費化できる
以上を踏まえて、「中古の高級車」の購入がなぜ「節税」になるのか、説明します。
あらかじめ結論を示すと、「3年10ヵ月」以上の中古車であれば、1年で代金全額を減価償却費に計上できるということです。
どういうことかというと、まず、中古車については、耐用年数が新車よりも短く設定されます。計算式は以下の通りです。
1. 法定耐用年数が未経過の中古車:(法定耐用年数-経過年数)+経過年数×20%(年)
2. 法定耐用年数を経過した中古車:法定耐用年数×20%(年)
これらの計算式により1年未満の端数(小数点以下の数値)が発生した場合、端数は以下のように処理します。
・年数が2年超の場合:切り捨て
・年数が2年未満の場合:切り上げ(2年)
したがって、中古車については、耐用年数が最短で「2年」ということになります。ただし、先述した「定率法」を使うと、耐用年数が2年でも、「1年」で全額を償却することができるのです。
以上からすれば、計算上の耐用年数が「2年11ヵ月超」となる中古車は、1年で償却できることになります。
たとえば、ぴったり2年11ヵ月落ちの自動車であれば、
1. 「11ヵ月」が切り捨てられて法定耐用年数が「2年」となる
2. 定率法により「1年」で償却できる
ということです。
そして、計算上の耐用年数が「2年11ヵ月」となるのが、「3年10ヵ月」の中古車なのです。